まだ何かを成し遂げたわけではない


△ベスト4に貢献したエース右腕・八重尾 蓮投手(2年)

 一方で、まだ何かを成し遂げたわけではありません。チームスローガン「東の聖地(神宮)から、西の聖地(甲子園)へ」を合言葉に野球への取組み方を日々追及しています。

 今年度創部30周年を迎え、OB会よりチームスローガンを載せた横断幕を贈呈して頂きました。3年前の準々決勝が駒沢球場だったこともあり、節目の年である今夏、神宮の地に立てたことで、西の聖地を意識できる大会となりました。ただ、我々のようなチームからすると、ここからの1勝は一気に乗り越えるものが大きくなります。高いステージに立てたからこそ、より高いステージへのギャップを感じざるを得ませでした。正直なところ、新チーム始動時の東東京優勝という安易すぎる目標や発想を危惧していました。そんな中での秋季大会ベスト4という結果は、更なるギャップと、準々決勝の壁を乗り越えられたという選手の可能性、という両面を実感できたことが最大の収穫です。

 割り切ることから生まれる、能動的に本質を捉える思考力や洞察力。それは日常生活や野球を通じた高校生としての成長に重要なものです。そして、その成長こそが、どんな展開でも落ち着き、どんな相手でも動じず、何かを成し遂げる要因なのかもしれません。

 4強トーナメントをみると、「淑徳」の異質感は自他ともに認めるところです。しかし、この異質さに誇りを感じています。神宮の地で強豪に立ち向かうこと。西の聖地への解像度をもっと上げていくこと。野球部強化に特化したサポートが何か始まるわけではありません。スローガンの実現に向けて、強豪校に勝る「強み」を探りながら、この良い流れを、止まざる流れにしていきたいと思います。

淑徳高等学校硬式野球部
中倉 祐一