横浜の神宮大会優勝で、2024年シーズンは公式戦を終えた。全チームがトレーニング期に移行し、春に向けて鍛錬を積む日々を送っている。
チーム状況によってトレーニング内容は異なるだろう。だが、おそらくほとんどのチームが食事に対して力を入れているのではないか。食事量、回数を工夫することで体重増加。そしてパフォーマンスの向上を狙っている。
トレーニング後にプロテインでの栄養補給は、その一環であり、同時にもはや選手たちのなかで当たり前となっている。だからこそ、正しく摂取することで、きちんと効果に結び付けなければいけない。
そこで今回はスポーツメーカー・ゼットに勤務する桐畑純一さんに協力をお願いし、プロテインに関する基本知識などを解説してもらった。
意外と難しい?必要なタンパク質の摂取量
一般的に、プロテインはトレーニングを終えてから30分を目安に摂取することが推奨されている。というのも「トレーニングはもちろん試合、もっといえば体育の授業もそうですけど、身体を動かすことで筋肉を傷つけることになるので、その修復作業の際にタンパク質などが必要なんです」と桐畑さんは解説する。
そのうえでタンパク質の摂取量、そして摂取することの難しさを説明する。
「身体を大きくする時期であれば、自身の体重×2グラム以上のタンパク質が必要とされています。ですので、体重が70キロであれば、毎日140グラム以上のタンパク質を摂取する必要があるんです。
そうすると、基本的には3度の食事で多くのタンパク質を摂取していく必要がありますし、不足しているなら補食で食事の回数を増やさないといけない。けど、タンパク質だけを摂取するわけではなく、糖質やビタミン、ミネラルといった栄養素もバランスよく摂らないといけない。運動量のことも考えると、3度の食事だけでは不足してしまうと考えています」
桐畑さんいわく、実はオフシーズン中の1日練習ならトレーニングの内容にもよるが、エネルギー消費量は、夏場の1日練習と同等。練習時間はもちろんのこと、強度が高いトレーニングをするため、結果的に同じくらいだというのだ。
特にこの夏、異常なまでに暑かっただけに、エネルギーを消費することについて選手・指導者は、より敏感になったはず。その時と同じくらい冬場も消費すると考えれば、いかに食事、もっと言えばタンパク質を摂取することの重要性が高いことが理解できるだろう。
もし仮に、エネルギーが枯渇した状態のまま、練習を継続するようなことがあると、こういったことが起きるという。
「どれだけいいトレーニングをしても、体内に身体づくりに必要な材料(=タンパク質)と身体を動かす材料(=糖質など)がないと身体づくりは始まりません。もっと詳しく言えば、もしなければ体脂肪や筋肉を削ってエネルギーを生み出して、身体を動かすことになります。だから体脂肪が少ない選手は、空腹の時間があるだけ、身体づくりの際に筋肉を削ることになるので、空腹になる前にエネルギー補給(=補食)を摂ってほしいです」(桐畑さん)