9日、現役ドラフトが行われ、17時に移籍情報が解禁される。以前には細川 成也外野手(明秀日立)、大竹 耕太郎投手(済々黌早稲田大)ら、移籍後に活躍する例もあり、プロ野球ファンからの期待も年々高まっている。

 この制度は出場機会に恵まれない選手の飼い殺しを防ぐため、2022年から始まった。今年も新天地で輝く選手は現れるのか。今回は移籍をきっかけにブレイクを果たせそうな選手を取り上げたい。

 1人目は巨人の大江 竜聖投手(二松学舎大付)だ。2016年ドラフトで6位指名を受けると、高卒4年目に43登板で9ホールド、防御率3.11の好成績を残した。21年も47登板、23年も32登板と試合数はこなしたが、両年とも防御率4点台と安定感に欠けていた。今季は16登板で防御率2.63も、6月14日に登録抹消されて以降、一軍にあがることはなかった。

 巨人は今オフにDeNAから戦力外を受けた石川 達也投手(横浜法政大)を獲得。同学年の左腕が加わり、立場が苦しくなる。年齢25歳と若く、環境が変われば再び輝きを取り戻すことができるだろう。

 セ・リーグ野手の中では、阪神の小野寺 暖内野手(京都翔英大阪商業大)をあげたい。2019年に育成ドラフト1位で入団を果たすと、自慢の打撃でアピールし、21年に支配下登録を掴んだ。昨季は自己最多の43試合で打率.347と勝負強さを見せたが、今季は6月に左手首の負傷もあり、25試合で打率.148に終わった。

 阪神の外野手層を見ると、近本 光司外野手(関西学院大大阪ガス)と森下 翔太外野手(東海大相模中央大)がいるため、アピールチャンスは限られている。さらには、井上 広大外野手(履正社)、井坪 陽生外野手(関東第一)ら、右の強打者候補も多く、藤川球児新監督が今秋キャンプのMVPに豊田 寛外野手(東海大相模国際武道大日立製作所)をあげるなど、ライバルの活躍も目立つ。パワフルな打撃を秘めているだけに、外野手が手薄な球団に移籍すれば、面白い存在だ。

 パ・リーグではオリックスの本田 仁海投手(星槎国際湘南)が狙い目だ。22年には42登板で14ホールドをあげてリーグ3連覇に貢献。強力リリーフ陣の一角を担っていたが、昨年は28登板に減らし、オフには右肘靱帯の損傷でリハビリ生活を送っていた。

 今年5月に復帰すると最速158キロの直球を武器に実力を発揮。前半戦は抜群の安定感を見せていたが、後半戦は失速して23登板に留まった。

 それでも防御率は2.86と決して悪い数字ではない。来季は山岡 泰輔投手(瀬戸内東京ガス)が中継ぎ1本で勝負を明言し、今季出場機会を減らしていた宇田川 優希投手(八潮南仙台大)、 山崎 颯一郎投手(敦賀気比)のWBC戦士が復活となれば競争も激しくなる。1年間本来の実力が出せれば、他球団でリリーフエースとして活躍する姿が浮かぶ。