9日、現役ドラフトが実施され、12球団13選手の移籍が決まった。今年は3年目で初

となる捕手の移籍や2巡目指名など、新たな展開も多かった。今回はパ・リーグの指名を

振り返りながら、各球団の戦略と指名選手の実力をもとに総括していく。

評価基準は以下
戦略 A素晴らしい補強 B良い補強 C戦略的に疑問
指名選手の実力 A即戦力級の活躍に期待 B一軍定着に期待 C今後に期待

西武:平沢 大河内野手(仙台育英)前所属球団 ロッテ
戦略:B
指名選手の実力:C

 貧打に泣く西武。平沢は今季一軍未出場に終わったが、キレの良いスイングを見せる左の好打者だ。ロッテでは埋もれてしまう可能性はあるが、西武は打力の良い左打ちの内野手が少ないため、ロッテより出場機会は見込めそうだ。戦略としては妥当といえる。ただ、貴重な中継ぎである本田 圭佑を放出したのは痛手。若手右腕の台頭に期待したい。

オリックス:本田 圭佑投手(東北学院) 前所属球団 西武
戦略:B
指名選手の実力:B

プロ入りしてから一軍で投げ続ける右腕。今季は31試合で防御率4.11だった。145キロ前後の速球を投げ、スライダー、フォークを器用に投げ分ける。防御率の良いオリックスだが、投手起用に綱渡りなところがあったため、良い補強だった。貴重な二遊間・山足 達也内野手(大阪桐蔭)を放出したが、若い遊撃手の出場機会を増やす方向性になりそう。

楽天:柴田 大地投手(日体大荏原) 前所属球団 ヤクルト
戦略:B
指名選手の実力:C

 どんどん投手層を厚くする楽天。一軍での実績は少ないが、威力ある速球を投げ込む投手。制球力に課題があるが、楽天で出番が増えるか。

ロッテ:石垣 雅海内野手(酒田南) 前所属球団 中日
戦略:C
指名選手の実力:B

 石垣個人に目を向ければ、なんとか一軍で台頭してほしい和製大砲だったため、パンチ力のある石垣の移籍は歓迎したい。課題のコンタクト力を磨いて一軍でブレイクを掴みたい。ただロッテは先発投手の補強が優先だったはず。現役ドラフトではロッテの事情に叶う投手を獲得できなかった。

日本ハム:吉田 賢吾捕手(横浜商大高) 前所属球団 ソフトバンク
戦略:C
指名選手の実力:A

 もともとは捕手でプロ入りしたが、二軍ではわずか6試合出場で、今季は63試合出場した一塁がメインだった。日本ハムの一塁はマルティネス、清宮幸太郎外野手(早稲田実)がいるが、二軍では阪口 樂内野手(岐阜第一)、有薗 直輝内野手(千葉学芸)の高卒3年目コンビを中心に守る形だった。競争意識を促すつもりかもしれない。一軍では10試合で打率.192に終わったが、二軍では79試合で打率.303、3本塁打、33打点、ОPS.751と優秀な成績。吉田個人に目を向ければもっと貧打のチームに移籍してほしかった思いはある。

ソフトバンク:上茶谷 大河投手(京都学園) 前所属球団 DeNA
戦略:A
指名選手の実力:A

 先発、中継ぎを器用にこなす右腕で、今年は18試合で防御率4.37に終わったが、昨年は中継ぎ中心に46試合登板、防御率2.11の好成績だった。キレの良い直球、カットボール。層の厚いソフトバンクでもしぶとく生き残れそうな総合力を持った投手であり、FA宣言の石川柊太投手(総合工科)が抜けたとしてもカバーは期待できる。