この秋、明治神宮大会に出場した東海大札幌(北海道)には「頼れる双子」がいる。明治神宮大会では、1番に起用された兄の太田 勝心外野手(2年)と、不動の4番に座る弟の太田 勝馬内野手(2年)。兄は170センチで78キロ、弟は172センチで87キロ。ともにパンチ力のある打撃が売りで、兄が左打ち、弟は右打ち。2人がそれぞれの役目を果たし、この秋の北海道大会を制した。
弟の太田馬は勝負強さが光る。明治神宮大会では、2戦を戦ってわずか1安打しか打てなかったが、その1本は初戦で勝利に導く先制2点適時打だった。外角球を逆らわず、逆方向へはね返すと、打球は右中間をあっという間に抜けていった。濡れた人工芝ではあったが、速度が一層増したかのような打球だった。
北海道大会決勝の勝利も、太田馬が運んできたようなものだった。0対0で迎えた4回に左翼ポールを直撃する先制2ランを放った。初球、肩口から入ってくる甘い変化球ではあったが、しっかりタメをつくって思い切り引っ張った打球は、チームを優勝に導くアーチとなった。
上からたたけているからこその打球でもあった。決して、大振りせず、下からのアッパースイングではない。バットを最短距離で上から素早く振り抜くスイングが身についている証拠だろう。結局、この2ランだけの2対0で勝利。頼れる4番ぶりを発揮した。
3対1で勝利した準々決勝のクラーク国際戦では、全打点をたたきだした。1回に先制の犠飛、3回に左前適時打を放つと、1点差に詰め寄られて迎えた7回には、失策で出た走者をかえす適時二塁打でダメを押した。北海道大会のトータルの打率は.250と高くはないが、大事な場面ではしっかりと結果を残した。
兄の太田心は明治神宮大会では2試合7打数無安打に終わった。今後は弟に刺激されて奮起するだろう。来年春のセンバツの舞台では、双子揃っての活躍にも期待したい。
【太田馬の北海道、明治神宮大会の打撃成績】
<北海道大会>
1回戦(鵡川)4打数1安打1打点
2回戦(札幌光星)3打数0安打0打点
準々決勝(クラーク国際)3打数2安打3打点
準決勝(札幌日大)4打数0安打0打点
決勝(北海)2打数1安打2打点(本塁打1)
<明治神宮大会>
1回戦(大垣日大)2打数1安打2打点
準々決勝(広島商)4打数0安打0打点