2024年も、残りあとわずかとなった。今年の高校野球界を各都道府県別に振り返り、1年間の球児の熱い戦いを思い出してみたい。
今年の徳島県では、好投手が注目された年だった。昨年秋に県3位ながら、四国大会で準優勝してセンバツに出場した阿南光の吉岡 暖投手(3年)のほか、鳴門渦潮の岡田 力樹投手(3年)、生光学園の川勝 空人投手(3年)が話題の中心となった。
吉岡は最速146キロ右腕。ゆったりとした二段フォームから、キレのある速球と変化球を投げ分ける。近年では珍しくなった「完投能力」の高い投手でもある。昨年秋、四国大会準優勝をもたらし、センバツに出場。初戦で豊川(愛知)の注目左打者、モイセエフ ニキータ外野手(3年)に本塁打を浴びたが、4失点完投でチームを勝利に導いた。2回戦では熊本国府(熊本)相手に、5安打14奪三振完封と本領を発揮し8強に導いた。
夏も大本命と言われるなか決勝まで進み、春夏連続甲子園まであと1勝としたが、そこに立ちはだかったのが、鳴門渦潮の岡田だった。吉岡と岡田、先発した両右腕の投げ合いは9回を終わって3対3で決着がつかず、延長タイブレークへ。10回表に岡田が2点を失ったが、その裏に吉岡が3点を許してサヨナラ負け。レベルの高い投手戦は、夏の決勝にふさわしいドラマを生んだ。新チームとなった秋も鳴門渦潮が優勝を果たしている。
右腕の川勝は最速153キロの速球が武器で、重い球質で打者をねじ伏せてきた。180センチ、88キロの恵まれた体格で、馬力のある投球を感じさせる。2年生の夏にはすでに最速153キロをマークし、最後の夏は主将で4番エースとしてチームの大黒柱となった。昨年秋、今年春と4強で、夏は初戦敗退とチームとして頂点をつかむことはなかったが、川勝自身はドラフトで日本ハムから育成1位で指名され、新たなステージへと進むことになった。吉岡もまた、ドラフトでDeNAから育成2位指名を受け、プロとしての道を歩む。
一方、春は池田が準優勝、夏は城東が鳴門を破るなど4強入りする大健闘。小松島は春4強、夏8強に入り、新チームとなった秋は準優勝を収めた。来年は、どんなドラマが生まれるのか楽しみだ。
24年徳島県大会結果
<春季>
優勝 徳島商
準優勝 池田
4強 小松島
4強 生光学園
8強 富岡西
8強 城南
8強 徳島科技
8強 名西
<夏選手権>
優勝 鳴門渦潮
準優勝 阿南光
4強 城東
4強 城南
8強 富岡西
8強 小松島
8強 鳴門
8強 徳島科技
<秋季>
優勝 鳴門渦潮
準優勝 小松島
3位 鳴門
4位 川島
8強 板野
8強 生光学園
8強 阿波
8強 城南