秋季近畿大会で準優勝した智弁和歌山(和歌山)には、頼れる「守護神」がいる。背番号11の宮口 龍斗投手(2年)は、最速152キロ右腕。184センチの長身を生かしたパワフルな速球を武器に、この秋の近畿大会準優勝に貢献した。
和歌山大会2次予選から近畿大会と、合計6試合すべて救援登板し、失点はなんと0。和歌山大会の3試合にいたっては、計4イニングで安打すら許していない。近畿大会の市和歌山戦と合わせ、この秋、県勢相手にヒット1本も許していない「無双」を誇示した。
テークバックは非常にコンパクト。リリースしてからの腕の振りの方が大きく感じられる。それだけ、リリース前にはリラックスし、リリース後に力点を置いている証拠だろう。近畿大会の投球を見ると、速球が浮き上がって見える。体重が増えて夏から秋にかけて5キロほど速くなって152キロをマークしたという。リリース時にかけるパワーがより増したのだろう。
さらにキレのいい縦のスライダーが宮口を支えているといっていい。130キロ台の球速で鋭く曲がるため、「パワーカーブ」と呼んでもいいくらい。初見の打者は手が出せないのではないか。変化球は、ほかにも横のスライダー、スプリット、チェンジアップを操る。直球に威圧感があるだけに、変化球の効果が増している。現にこの秋、13イニングで15奪三振。奪三振率10.38と、2ケタをマークしているのもうなずける。
直球の威力を見込んで、中谷監督が「抑え」として起用している理由が分かる。チームは近畿大会決勝で敗れたが、宮口はこの秋、防御率0.00のまま終えた。出場が有力となっている来年春のセンバツでは、さらに進化した150キロ超えの直球と「パワーカーブ」を駆使した「無双投球」を披露するに違いない。
【宮口の和歌山、近畿大会の投手成績】
<和歌山2次予選>
1回戦(近大新宮)1回0安打2奪三振0失点
準決勝(日高)2回0安打3奪三振0失点
決勝(和歌山東)1回0安打2奪三振0失点
<近畿大会>
2回戦(神戸学院大付)3回1安打3奪三振0失点
準決勝(市和歌山)3回0安打3奪三振0失点
決勝(東洋大姫路)3回1安打2奪三振0失点
(※すべて救援)