22日、 昭和58年(1983年生まれ)の指導者たちによる「第2回高校野球指導者58年会主催指導者講習会」が立命館大学の柊野総合グラウンドで開催された。
この世代は、仙台育英の須江航監督、作新学院の小針 崇宏監督、京都国際の小牧 憲継監督と3人の甲子園優勝監督がいる世代でもある。
今年は近畿地区の若手指導者60人近くが参加していた。講師となったのは以下の3名。
乗田 貴士(平安-佛教大-トヨタ自動車-トヨタ自動車コーチ)
小原 孝元(滝川第二-東北福祉大-NTT西日本※現・投手コーチ)
森川 欽太(大産大付-近畿大-日本新薬 ※現・野手コーチ)
そしてモデル校として今秋、近畿大会に出場した北稜の選手たちが参加し、3人の講師が北稜の選手たちを指導しながら、自分たちの技術論、練習法を教え込んだ。
小原氏は北稜投手陣の投球練習を見ながら、投球フォームのポイントを指導。
「変化球は直球より腕を振る。腕を振ると聞くと、強く腕を振る意識のあまり、バランスが崩れてしまうので、下半身の踏み込みなど体全体で使う動きをより強く持つことが大切です」と語った。メディシンボールを使った体幹トレーニングも教え込んだ。
乗田氏は現在、指導者を離れているが、西武・源田 壮亮内野手(大分商)の守備を指導した実績を持っている。乗田氏はキャッチボールから指摘。
「みんな強いボールを投げているけど、回転が悪い。正しく握って、捕りやすいボールを投げることが大事です」とアドバイス。
テニスボールを使ったノックや、捕球する時のポイント、ステップの仕方などを細かく教え込んだ。乗田氏は源田のエピソードにも触れて、「愛知学院大時代の守備力の高さに惚れてスカウトした選手。ただ1年目は一番エラーも多かった選手でしたが、本人が『どうしてもプロに行きたいので、教えてください』と頼み込んで、そこからみっちり練習をした。チームノックに入るまでゴロ取りの練習をボール5箱やってから入るなど、とにかく量をこなしました。華があるといわれていますが、地道に取り組んだ選手です」と当時のエピソードも明かした。
日本新薬で11年間、巧打者として活躍した森川氏はティー打撃のやり方を教えた。
「高校生は力がついてきたので、どうしても振りたくなってしまう。だけど、右手、左手を丁寧に使っていけば、インサイドアウトのきれいなスイングが出来上がります」
自身が良い例と悪い例も交えながら紹介した。打撃講座の途中では58年会のメンバーの1人である元プロの山本翔監督(矢上)も加わり、打撃のイロハを語った。
3時間に及ぶ密度の濃い指導が終了したが、北稜の選手たちは終了後も3人の講師にどうすればいいか、積極的に質問する姿があった。北稜の山中 嵩斗主将は「とても学びがありました。自分は外野手ですが、内野手のキャッチボールの指導は自分たちも気をつけなければならないポイントだと思っています。この指導を活かして、強豪校の差を縮めるような成長をしていきたいと思います」と意気込みを語った。
この指導者講習会は立命館宇治の里井祥吾監督の思いによって去年から開催された。今回もパネリストとして積極的に講師に質問をしていた。参加者の広がりを見ると、来年以降の開催も期待される。