名門・智弁和歌山(和歌山)のトップバッターは、チームが誇る「安打製造機」だ。新チームから1番に定着している藤田 一波外野手(2年)は、この秋、和歌山大会2次予選、近畿大会を通じて、チームトップの12安打を放った。打率も.444(27打数12安打)をマーク。近畿大会準優勝の立役者にもなった。
和歌山大会2次予選の決勝(和歌山東戦)では5打数4安打。近畿大会の準決勝、市和歌山(和歌山)戦では4打数3安打と固め打ちもできる。チャンスメーク役としてはうってつけの存在だ。
左打者で、ややバットを担ぎ気味に、少しオープンスタンスに構える。特徴は左手の使い方。やや左脇をあけるようにグリップして、左腕の力がバットに伝わるようなスイングをする。さらに、変化球の時には、この左手でタメを作ってバットコントロール。基本であるセンター返しが美しく見えるのもセンスがある証拠だろう。さらに、この秋の和歌山大会2次予選、近畿大会で立った32打席で三振がゼロ。いかにバットコントロールが優れているかが分かる。
俊足の持ち主でもあり、50メートル走は6秒ジャスト。近畿大会の市和歌山戦に放った二塁打は、三塁後方にフラフラと上がった打球がポトリと落ちる間に、藤田はあっという間に二塁へ到達したもの。それも「スタンディングダブル」状態で、余裕が感じられた。
U‐15日本代表でW杯出場経験もある。1年春から1番で起用されることもあるなど、中谷監督からの信頼も厚い。この夏の甲子園でも2番でスタメン出場し1安打を放った。来年春のセンバツの舞台でも、チームの先頭に立って、出塁を重ねていくことだろう。
【藤田の和歌山、近畿大会の打撃成績】
<和歌山2次予選>
1回戦(近大新宮)3打数2安打1打点
準決勝(日高)3打数1安打0打点
決勝(和歌山東)5打数4安打0打点
<近畿大会>
2回戦(神戸学院大付)5打数1安打0打点
準々決勝(滋賀学園)4打数0安打0打点
準決勝(市和歌山)4打数3安打1打点
決勝(東洋大姫路)3打数1安打0打点
(※すべて1番センターでスタメン)