技術だけではなく、人としても上を目指したい

大会で勝つ。そのために生明主将、伊原学生コーチたちは中心となって、バラバラになりかけたチームを、懸命にまとめなおして、石井監督とともに秋季大会を戦った。

地区予選では所沢中央に勝利すると、県大会でも春日部東に勝利。順調に大会に入ったように思われたが、続く伊奈学園戦は違った。8回終わって10対4とリードがあったものの、最終回にまさかの8失点。1点を返したが、11対12で敗れた。
「バッティングについては、しっかりバットを振れる感じはあるので心配ないんですけど、秋季大会でもエラーをしちゃいけないところでミスしない。その基礎・基本を冬場の間に徹底的にやらないといけないと思っています」(石井監督)

元々、「打ってほしいというのはありますが、確率のスポーツなので細かいところは指導しています」と守備と走塁に対して、こだわりを持って指導してきた部分だった。だからこそ、今年のチームは「守備や走塁に時間をかけて、夏場にはバッティングが仕上がってくればと思っています」と考えていた。それだけに悔しい部分もあるのだろう。

生明主将も悔しそうに秋を振り返ったが、一方で埼玉を勝ち上がるポイントは、まさに守備にあると語る。
「やっぱり春以降はどのチームも力を付けてくると、どちらか一方に傾くと思うんです。だからまずは守備で流れを作り、攻撃に繋げていく。どちらも力のあるチームを作ることができればと考えています」

そんなチームを実現するため、生明主将の覚悟はもちろん決まっている。
「ほかの学校も春以降は技術を高めてくると思うので、そういうところに負けないようにチームをまとめて、冬をちゃんと乗り越えて、技術だけではなく、人としても上を目指したいと思います。そして夏は絶対に甲子園、というのを目指して頑張ります」

「野球が上手い選手はいらない。人として“強い”選手が必要」

この言葉を体現した選手が1人でも多く出てくれば、山村国際の躍進がみられるだろう。その答えは春以降だ。果たしてどんなチームになるのか、今後も戦いぶりを注目したい。