今年の高校生を代表する速球派右腕・森 陽樹投手(大阪桐蔭)。聖心ウルスラ聡明中時代から軟式で143キロの速球を投げ込む投手として大きな注目を浴びた。高校2年夏には最速151キロを計測し、130キロ中盤のスライダー、フォークを操り、順調に成長を示しているだろう。ドラフト上位指名を実現するために何をアピールすべきなのか、何を克服するべきか考えていきたい。
まず強みは高校生トップクラスの平均球速だ。昨夏の小松大谷戦では最速149キロ、平均球速143.74キロと最速154キロ右腕の石垣元気投手に次ぐスピードだ。また189センチの高身長を活かしてボールの角度もあり、回転数も高そうなストレートで空振りを奪える球質の良さも魅力的だ。高めに強いストレートを、低めにしっかりと伸びるストレートを投げられる。
投球フォームを見ると、ノーワインドアップから大きく左足を上げてから、軸足にしっかりと体重を乗せ、右腕を真っ向から振り下ろす。その動きは合理的で、投げる瞬間の右足の強い蹴り上げもあって躍動感を感じる。
130キロ中盤のフォークとスライダー、110キロ前後のカーブの精度も悪くない。夏の甲子園や、1失点完投勝利を挙げた夏の大阪決勝の東海大仰星戦では直球、変化球のメリハリも効いていた。
森がマウンドに上がると、大阪桐蔭の外野陣は全体的に浅めに守る。それほど森のボールは前に飛ばせないのだ。
ただ秋季大会では突如としてボール球が増え、リズムを悪くして、集中打を浴びることがあった。いわゆる“伸びがない棒球”で長打を打たれるなど、近畿大会の滋賀学園戦では4四球で2失点。押し出しでの1点もあった。
秋の投球内容は悪かったが、森に匹敵する素材の高校生右腕は上述した石垣や、東海大相模・福田 拓翔投手ぐらいだ。また大学・社会人のドラフト候補たちも豊作と言われた23年、24年ほどではない。森は相対的にもドラフト上位候補に挙がる投手だ。秋で課題だった突発的にコントロールを崩すことなく、終始、パワーピッチングで圧倒できる投球ができれば、ドラフト上位戦線に生き残れるだろう。
センバツ未出場でドラフト1位になった大阪桐蔭の投手には2005年の158キロ左腕・辻内崇伸投手(元巨人)がいる。森もドラフト1位を目指せるスケールの大きさがある。春季大阪大会ではドラフト上位指名or1位を確定させるピッチングを見せていきたい。
森陽樹(もり・はるき)
右投げ右打ち
190センチ86キロ
遠投120メートル
握力は左右ともに60キロ
小学校時代:東海東少年野球クラブでプレー
聖心ウルスラ学園聡明中は投手・外野手を兼任
3年夏 全国大会出場(1回戦敗退)
大阪桐蔭では1年秋からベンチ入り
2年春のセンバツ・神村学園戦で先発し、甲子園デビューを果たした。
2年夏の大阪大会では主力投手として活躍し、決勝の東海大仰星戦では1失点完投勝利で甲子園出場を呼び込んだ。
2年夏の甲子園では小松大谷(2回戦)戦で先発し、7回まで投げて2失点だった。
2年秋は近畿大会初戦に敗れ、3季連続甲子園出場はならず。
最後の夏は3度目の甲子園出場を目指し、レベルアップを目指す。