秋季千葉県大会は、千葉黎明の初優勝で幕を下ろした。初の頂点となった千葉黎明は、勢いそのままに関東大会でもベスト4進出。センバツ出場へ、大きく前進することになった。
その千葉黎明相手に3回戦で対戦し、中盤まで競り合ったのが東海大浦安だった。
春夏合わせて3度の甲子園出場。なかでも2000年の夏の甲子園は準優勝を飾った。その記録を讃える記念碑がグラウンドに置かれているが、それ以降は千葉を勝ち抜けないのが現状である。
些細なことにも徹底する姿勢
ただ夏の千葉大会ではベスト16入り。さらに2023年の秋にはベスト8入りを果たすなど、東海大浦安は上位に勝ち上がり続けている。甲子園出場が決して遠くはないが、あと一歩が険しい道のりとなっている。
2019年からチームの指揮官に就任した瀬戸康彦監督も、「毎年、様々なチームが入れ替わり、立ち代わりで勝ち上がっていますよね」と、千葉の高校野球を舞台に6年間指導している中で感じている厳しさを語る。
しかし、そこに対する解決の糸口はハッキリしている。
「各チームに特色がありますが、全く太刀打ちできないわけではない。自分たちが勝負できる部分をどれだけ高めていけるか。あとは試合で上手くはまれば、十分勝負できると思っています」
公式戦でどれだけ普段通りの野球、自分たちの強みとなる部分を発揮できるか。そこに瀬戸監督はポイントがあると睨んでいる。しかし、それを発揮するのが難しいから、どのチームも悩んでいるのであり、同時に普段の野球への向き合い方が顕著に出てくる部分でもある。
そうした点からみると、東海大浦安は細かなことに対して、決して手を抜いていないと感じる。
グラウンド内、そして周辺への掃除はもちろん、「1つのカゴに100球入れるようにしている」というボールの管理に対するこだわり。プレーに対しても、選手間で「タッチ、強くしろよ!」など細かなことに対して指摘の声が飛び、瀬戸監督も選手を呼んでマンツーマンでじっくり指導する姿があった。
普段は平日2時間程度しか練習ができないこともあって、「後でやると忘れたり、感覚が違ったりすることもあるので、見て見ぬふり、流すことは出来るだけしたくない」という瀬戸監督の思いから、1日練習など時間をとれるときは、いつも以上に丁寧に指導しているという。
そうした「その場で時間を使って意識してやり直しをする」丁寧かつ細やかな指導を、現在は強く意識する瀬戸監督。指導を受ける矢澤滉基捕手(2年)は、「練習で80点を求めたら、試合ではもっと精度が下がる。だから練習から完璧を求めるのがベスト」と語る。
これまで様々なチームと戦っていく中で、「大会では何があるかわからない。高校野球は甘くない」という矢澤主将は衝撃を受けたそうだ。だからこそ、「石拾いやゴミ拾いは大事だと思います」とプレーだけではなく、些細なことも徹底するべきだと話し、瀬戸監督の指導に共感をしているようだった。