ソフトバンクは巨人に移籍した甲斐拓也捕手(楊志館)のFA移籍にともなう人的補償選手として伊藤 優輔投手(小山台)が入団することを発表した。

 伊藤は昨年、支配下登録に復帰し、後半戦8試合で防御率1.04と好成績を残していた。伸びのある150キロ前半のストレートに加え、切れ味鋭いスライダーも魅力がある。阿部慎之助監督からは菅野智之投手が抜けた先発候補として期待している声もあった。

 そんな伊藤がなぜプロテクトから外されたのだろうか。それは巨人に数少ない若手の有望のプロテクトを優先したからだろう。彼らの流出を防ぐために、主力投手、主力野手、若手野手を中心にプロテクトをしたとみられる。

昨年巨人はセ・リーグ1位のチーム防御率2.49を残した一方で、本塁打は81本。23年の164本塁打から大きく減少した。また、CS敗退した時の貧打に苦しんだことも印象に強い。打線強化が課題の中、3年目を迎える浅野翔吾外野手(高松商)、5年目の秋広優人外野手(二松学舎大付)などの若手スラッガーは貴重な選手である。

 一方、投手は伊藤に加え、赤星 優志投手(日大鶴ケ丘)、堀田 賢慎投手(青森山田)、横川 凱投手(大阪桐蔭)、昨年ドラフト1位の西舘勇陽投手(花巻東)と有望な若手投手が多い。特に西舘は二軍で10試合中、9試合に先発し、38.2回を投げ54奪三振、防御率1.40と優秀な成績を残していた。今季で29歳を迎える伊藤は西舘などの若手投手と比べれば、プロテクトする優先度はどうしても落ちる。能力は高く評価しているが、ギリギリで外した選手かもしれない。

 ソフトバンクは捕手を獲得するというのが、大方の予想だったが、伊藤を補強したのは同じくFAでロッテに移籍した石川柊太投手(総合工科)の穴埋めの意味が大きいだろう。来季に向けてソフトバンクは濵口 遥大投手(三養基)、上茶谷 大河投手(京都学園)、上沢直之投手(専大松戸)の先発3投手を補強したが、上沢以外の3人は中継ぎ経験がある。投手は消耗品で昨年同様のパフォーマンスができるとは限らない。強力投手陣形成へ向けて、大きな補強ができたといえるだろう。

 伊藤は過去にトミー・ジョン手術を経験しており、苦労して支配下登録に復帰した。このような形で移籍ができたのは期待されている証拠だろう。ソフトバンクでブレイクを期待したい。

高校野球ドットコムが予想していたプロテクトリスト

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