昨秋の近畿高校野球大会に初出場した滋賀短大付(滋賀)は、初戦で大阪優勝の履正社を4対1の逆転で下し、大会初陣を初勝利で飾った。まさにジャイアントキリングと話題をさらったが、その「主役」だったのは、左腕エースの櫻本 拓夢投手(2年)だった。

162センチ、57キロの小柄なエースが大きく見えた。やや2段モーション気味で、腕の振りもスリークォーター。クロスステップということもあって、直球に独特の球筋を生んでいる。

直球の球速も120キロ台だが、右打者への外角球がナチュラルにシュートすることをうまく利用して、強力打線のバットの芯を外すことに成功。三振はわずか1と、打たせて取る投球に徹した。27アウト中、ライナーも含めて実に17アウトが飛球。履正社打線を打てそうで打てない「櫻本マジック」に引っかけた。

天理(奈良)戦でも4失点完投で敗れはしたが、自責点は2で、許した安打も5。4四球を与えたことが響いたものの、持前の打たせて取る投球は披露できていた。

センバツの舞台でも、その技巧派投球を駆使して好投する姿を見せることができるのか。櫻本は24日の運命の日を待つ。

【櫻本の近畿大会の投手成績】

1回戦(履正社)9回7安打1三振1失点

準々決勝(天理)8回5安打2奪三振4失点(自責2)

(ともに先発)