1月24日、第97回選抜高等学校野球大会の出場校が発表される。

 最も注目が集まるのが、関東・東京の選考である。秋季関東大会優勝の横浜が神宮大会を制したため、関東の枠は1つ増え、関東5・東京1・両地区の比較枠1となった。

 関東では優勝した横浜、準優勝の健大高崎、ベスト4の千葉黎明浦和実、東京では優勝した二松学舎大付の5校はほぼ当確。残り2枠はどうなるのか考えていきたい。

神宮枠がなければどうなった?

 まず神宮で増えた関東一枠を抜いた、「比較枠」は関東、東京のどちらが有利なのか。

 ボーダーラインに入るのは関東ベスト8の東農大二(群馬)、つくば秀英(茨城)、山梨学院(山梨)、佐野日大(栃木)、東京大会準優勝の早稲田実だ。敗退した試合のスコアを振り返ると、

【関東】

横浜 2-0 東農大二

浦和実 2−0 つくば秀英

健大高崎 10−3 佐野日大

千葉黎明 5-2 山梨学院

【東京】

二松学舎大付 6-5 早稲田実(延長12回)

 1点差勝負を演じたのは、早稲田実だ。関東は東農大二つくば秀英が2点差で負けているが、完封負け。佐野日大は7回コールド負け、山梨学院は初戦で東海大相模を破る激闘を見せたが、千葉黎明戦では9四死球5失点と内容は良くない。関東はどの学校も決め手を欠く。

 早稲田実は決勝戦でわずか1失策。頼みのエースの中村 心大投手(2年)は7四死球を与えて、7回で降板したが、その後の投手が踏ん張り、延長戦へ。サヨナラ負け阻止のために1点も許されない状況の中で、9回から延長11回まで3イニング連続で併殺を完成させた。特に延長11回裏には一塁手、三塁手が前方へダッシュして、ショートがサードのカバー、セカンドがファーストのカバーに入る“ブルドックシフト”で犠打を阻止して、併殺を決めた。このプレーはボーダーラインに入っている5校の中で最も印象深く、高度なプレーだった。


中村 心大(早稲田実)

 早稲田実はエース中村の総合力、降板してもカバーができる投手力、守備力の高さは関東の学校より上回り、比較枠で選出されると見ている。

 ちないに神宮枠が導入されて以降同様の選考は3回あった。結果は関東2回(07年、08年)、東京1回(10年)となっている。

08年 関東6 東京1

09年 関東5 東京2

11年 関東5 東京2

08年のセンバツでは、横浜慶応水戸商聖望学園千葉経大付、そして関東6枠目にスーパーシードで準々決勝から登場し、初戦敗退の宇都宮南が選出され、東京準優勝の国士舘が選考に漏れた。国士舘は決勝戦で関東一に5対9で敗れ、内容的に微妙だったため、致し方ないが、延長12回の激闘を演じた早稲田実が関東6校目より劣るのは考えにくい。関東5、東京2という流れで落ち着くだろう。

過去の関東・東京地区の選考経過

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