第97回選抜高等学校野球大会の出場32校が決まった。最も注目が集まったのは、関東・東京の選考争いだ。横浜の明治神宮大会優勝により増枠となった関東5枠目は山梨学院が選出された。近年の関東・東京の5枠目に選ばれた学校、そして今回の選考理由を見ると、好投手を攻略した、あるいは二桁安打を打った打撃力の高い学校に一貫している。
日本高野連会長が語った選出理由
山梨学院の選考理由について日本高野連・寶馨会長はこう語った。
「3年連続で関東大会決勝進出しており、近年は関東大会で群を抜く成績を残しています。昨年の関東大会では初戦で昨年甲子園ベスト8の東海大相模と対戦し、9回に追いつかれましたが、タイブレークの末、サヨナラ勝ち。接戦を勝ち抜く粘り強さを発揮しました。4年連続ベスト4を逃しましたが、初戦で東海大相模の好投手に12安打を浴びせた打撃力は上位4チームと比べても遜色がありません。投手陣は6人を擁する層の厚さがあり、投打の総合力が他の3校に比べて、充実していると判断し、5校目に選ばれました」
東海大相模の好投手とは、最速151キロ右腕・福田拓翔投手のこと。神奈川県大会では20.1回を投げて、わずか1失点に抑えている投手であった。福田から12安打。特に2安打3打点の5番梅村 団内野手(2年)をはじめ3人がマルチ安打を記録した。安打を打った選手は9人もいた。この好投手・福田を攻略した点がかなり高く評価されたのだった。
守備や投手成績でみると、東農大二の成績がやはり良かった。山田 琉聖投手(2年)は関東大会で14回を投げて16奪三振、5失点。準々決勝では優勝した横浜相手に7回を投げ、7奪三振、2失点と、優勝校相手に好投を見せた。バックの守備も2試合で1失策だった。関東大会だけの内容を見ると、一番良かった。
一方で山梨学院は、準々決勝の千葉黎明戦があまり良い試合内容とはいえなかった。東海大相模を破ったものの、試合内容が極端だった。
山梨学院の課題は投手陣だ。寶会長は6人を擁する層の厚さがあると語ったが、まだ発展途上。この中で良いのは193センチの大型右腕・菰田 陽生投手(1年)、大友陸投手(2年)。菰田は長身から活かした140キロ台の直球は角度があり、5.2回を投げて、5奪三振、4四死球。そして大友は130キロ後半の速球、鋭く変化する変化球を武器に4.2回を投げ、4奪三振、3失点、4四死球だった。投手全体で見ると、19回で、16奪三振、14与四球、10失点(6自責点)と手放しで絶賛できるほどではない。また2試合で6失策と守備でも課題を残した。
それでも選考委員会は山梨学院の打撃力、潜在能力を高く評価した。
実は打撃力を評価する選出は23年から続いている。