日本スポーツ学会が選ぶ2024年度「第15回日本スポーツ学会大賞」の授賞式が25日、早稲田大学大隈記念講堂で行われ、世界少年野球推進財団(WCBF)の理事長を務める王 貞治氏が、笠谷 一也代表理事から表彰状を授与された。

笠谷 一也代表理事(左)と王 貞治氏

「いろいろな賞をもらってきましたが、今日の賞が一番うれしいですね。これまでは自分がやってきたことに対する賞でしたが、今回は私だけでなく、いろいろな方がかかわっています。世の中には自分の使命のように感じて子どもたちのために頑張っている方がいる。そういう方を代表して、この賞を受けたと思っています」

 授賞式では、第1回(2010年度)受賞者の坂田 信久氏が目録を渡し、アマチュア野球界から参加した全日本野球協会会長・山中 正竹氏、日本高等学校野球連盟会長・寶馨氏が祝辞を送った。坂田氏は、「目録をお渡ししましたが、今回の賞金は日本スポーツ学会の活動に役立ててくださいと王さんが辞退されました」と、舞台裏のエピソードを披露。会場は大きな拍手に包まれた。

坂田 信久氏(左)と王 貞治氏

 今回の受賞理由は、1990年から開催を続けている世界野球大会開催による少年野球の普及と国際親善への貢献、札幌市内の養護学校への慰問をプロ入り2年目の1960年から50年間続けた社会貢献活動によるもの。養護学校の慰問については「純粋な瞳を持つ子どもたちに触れることで、励ましにいっている自分が励まされるようになった」と振り返った。

 さらに、野球人口が減少する中で「これまでは教える人が主だったが、これからは教わる子供たちを主にした指導を行うことが求められる。言葉が大切。子供たちのやる気を呼び起こすことが一番大事」と語った。

 84歳になる王氏の野球に対する眼差しはどこまでも温かく、野球を通じて子供たちを育てようとする情熱は衰えるところを知らない。

「私はたくさんのことを学びました。それを次の世代に受け渡していかないといけない。野球というのは私にとっては、命を懸ける価値がある。野球は難しいが、楽しい。私のような思いを持ってやってくれる子どもが一人でも多く出てくれるように、頑張っていきたいと思います」

「子供たちの笑顔が力になっている」と語る王氏の人生をかけた生き様と志は、次世代へと引き継がれていく。