応援する人もサポートしたくて生まれたピュアハイパー

だが、それが毎日できれば苦労はしない。それは西山さんも十分理解している。だからこそ、開発する際には、こんな思いを胸の内に秘めていたという。

「ピュアハイパーは、スポーツをする人だけではなく、応援する人もサポートしたいというのがあったんです。
調査をすると、予洗いを必ず10~15分ほどやってから洗濯される家庭が多いようですが、そうした洗濯の負担が結構大きくなってきています。というのも、共働きをされる家庭が増えたので、時間に追われているんです。そういった家庭に対してサポートをしたい、家族の時間を少しでも増やしたい。そういう思いも持って、ピュアハイパーを開発しました」

こうした思いを形にして、選手や家族の負担を減らしているのが、ピュアハイパーなのである。

「生地と水との親和性を通常よりも高くする。結果、繊維に絡まった粒子を浮かせることで、汚れが落ちやすくなっています。より効果を発揮出来るように薬剤メーカーと4年ほど協力して、独自開発をしました。
そのうえで、抗菌加工を加えることで、ニオイに対してもアプローチをしています。ですので、トータルすると5年ほど開発に時間をかけたと思います」

△上からピュアハイパーなし、ピュアハイパーあり、新品のユニフォームパンツ(すべて1ヶ月着用したもの) ※写真提供=ミズノ株式会社

家族のためにも着てほしい!

多くの球児、家族が悩んでいた泥汚れ。そしてニオイに対してアプローチをした西山さん。ただもちろん、ガチパンツとして求められる耐久性といった機能面もクリアしないといけない。だから「開発段階では繰り返しの洗濯試験をして、機能面の確認をしました」と当時のエピソードも明かしてくれた。ただ、その表情からは苦労は感じられなかった。

「独自の機能性がミズノらしさ、ガチパンツの良さを表現できるポイント。そんな機能性を形にしていくのが私も含めた開発メンバーのミッションです」

普段は企画開発と連携を取って、イメージを具現化。そしてユーザーに届けられるように量産体制を整える。細かなところまでものづくりの根幹に携わっているという西山さん。アイディアを出す羽柴さんたち企画開発の両輪が噛み合ったからこそ、今回のピュアハイパーは誕生したのだろう。

そんなピュアハイパーを採用しているガチパンツは、1か月間のモニターの結果、通常よりも汚れが落ちることで、白さが保たれていることが分かったという。その結果には「こんなに差がはっきり出るとは正直思っていなかった」と驚きもあったようだが、目に見える結果が出たことに達成感もあったという。

すでに店頭には数多くのガチパンツが並んでいる。ユニフォームの買い替えでお店に行けば見かける球児もいるだろう。そんな球児に向けて、企画開発の羽柴さん、開発の西山さんは、それぞれこんなメッセージを残した。

「より練習をして、上達したい球児こそ使ってほしいです。汚れやニオイなどのプレーに関係ないところを気にせずプレーに集中できると思うので、練習に打ち込みたい球児こそ使ってもらえたらと思います」(羽柴さん)

「できれば、応援してくれる家族のためにも、みんな着てほしいというのはあります。汚れやニオイが軽減できることで喧嘩が減るなら嬉しいので。こういったユニフォームを使って、家族団らんの時間が増えたら嬉しいです」(西山さん)

自分のためはもちろん、普段支えてくれている家族のためにも、ピュアハイパーを搭載したガチパンツシリーズを見かけたときは、ぜひ一度検討してみてはどうだろうか。