26日、四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスが新入団選手発表会を開催した。
昨年も加藤 響内野手(横浜DeNAベイスターズ3位)、中込 陽翔投手(東北楽天ゴールデンイーグルス3位指名)ら4名がNPBドラフト指名された“独立リーグの雄”に今年も有力な新人選手が集結した。
注目ルーキーの一人に挙げられているのが小林 禅投手(佐久長聖ー東北福祉大)だ。小林が一躍注目を浴びたのが2023年11月に行われた『あの夏を取り戻せ~全国元高校球児野球大会』。コロナ禍で中止となった全国高等学校野球大会に替わり、各都道府県で開催された独自大会優勝校のOBが集い実現した大会だ。大学3年生だった小林は、佐久長聖OBとして先発のマウンドへ。初日・阪神甲子園球場に漂っていた柔和なムードは、右腕が計測した「152キロ」によって、どよめきと歓声に変わった。
小林は高校時代は外野手だったが、最後の夏はマネージャーを務めていた。東北福祉大にもマネージャーとして入部している。しかし、2年秋に何気なくマウンドに上がってみたところ、140キロ台が続けざまに出たのである。これを契機に投手の道に足を踏み入れ、聖地での驚愕表示につながった。
かくしてマネージャーからドラフト候補に浮上した小林。そして人生を変えた「あの日」から1年余りが経過したその姿は阪神甲子園球場から100キロ余り南西にある四国・徳島県北島町「ゆめタウン徳島」イベント会場にあった。「あの夏を取り戻せ」以降、188センチ85キロの体格と長い腕を生かして最速157キロまで球速を伸ばしていたが、常勝を宿命づけられるチーム状況の中、仙台六大学野球リーグ戦をはじめとする公式戦での登板は叶わず。しかし、「社会人野球に進むことは全く考えなかった」という小林はプロ志望届を提出してわずかな可能性にかけるも、NPBから声はかからなかった。
「打者に対してよりたくさん投げられるチームはないか。投手に転向してから2年間でフォーク、スライダー、ツーシームなどを習得してきた中、課題の変化球精度が鍛えられるところはどこか」。そこで頭に浮かんだのは徳島インディゴソックスだった。
「12年連続NPBドラフト指名のあるチームの育成システムを信じて来た」と小林。すでに1月中旬から新人合同トレーニングにも参加し「これまで全くしてこなかった」インディゴコンディショニングハウスでのウエイトトレーニングなどで、新たな刺激を身体に注入している。「プロに行こうとしている人たちばかりでレベルが高いし、試合で投げるのがむちゃくちゃ楽しみです」とNPBチーム2軍・3軍とも数多くの対戦が組まれる四国アイランドリーグplusのマウンドを心待ちにしている。
もちろん、最大の強みであるさらなる球速アップへの野望も抱いている。新入団選手発表会で色紙に目標として記したのは大谷 翔平選手(花巻東―現=ロサンゼルス・ドジャース)が2016年に日本ハム時代に出した日本人最速タイの「165キロ」。
「投球時の重心の回転速度は大谷投手に匹敵するレベルなので、165キロ以上が出る可能性は十分ある」とは徳島インディゴソックス関係者の言葉だ。
徳島入りで高いポテンシャルが発揮できる場所は整った。もう1つの目標「防御率0点台」が達成できれば……。2025年、独立リーグ界にとって悲願の「ドラフト1位指名」が一気に現実味を帯びてくるだろう。