2023年夏の甲子園では、捕手で兄の松延 晶音(あぎと)と仮面ライダー兄弟バッテリーとして話題をさらった鳥栖工の松延 響(ひびき)。甲子園2試合にリリーフ登板し、1年生で鮮烈なマウンドデビューを果たした松延 響は、今年最後の夏に挑む。
昨年夏はリベンジを目指すも決勝で苦杯を喫した。そして、選抜に向けて重要となる九州大会出場をかけた秋季大会準決勝では、好投手・稲富 理人(佐賀北)と投げ合い、3安打完投するも0対2で敗退。松延に、佐賀北戦の話を聞くと開口一番に、
「思い通りのピッチングができませんでした。自分が悪い時にどうするかっていうのをあの試合で考えさせられました。やっぱり悪い時もどういうピッチングをしていくかっていうことが大事になると思いました」と話してくれた。
大坪 慎一監督が「今シーズンで一番状態が悪かったと思います」と話すように、周りから見ても調子が上がっていないのは伝わっていた。ただその上で、「ピッチングとしては合格点です」と悪いなりに試合を作った松延の投球を評価した。
秋季大会に入るちょうど1週間前に、長崎海星と練習試合をした。松延は長崎海星の好投手・陣内 優翔と投げ合った。試合は一時も気の抜けない熱戦となり、タイブレークの末2対1で試合を制した鳥栖工。松延も自信になる1試合だったに違いない。そんな試合から、良い流れで入っていった秋季大会だけに、悔しい敗戦だったに違いない。
そんな松延はすでに次を見据えていた。
「実際に神宮大会をみる機会があり、横浜と東洋大姫路の準決勝を見ました。トップレベルのチームの試合を見られたのは良かったです。そこのレベルまで仕上げたいと思っています。オフシーズンでは、チームのスイングスピードは140キロを目標として、投手としてもまずは150キロ超えを目指したいです」と語る松延。
ここで終わる選手ではないのは明白である。プロを視野に入れている好投手が、この冬を成長の期間と捉え着実に前進している。シーズンインが待ち遠しい。2025年は鳥栖工の松延に注目である。