いま、球界のトレンドと言えるのが「高身長投手」。今年のドラフト会議で指名された高校生66名のうち、185センチ以上の投手はじつに16名にのぼった。

広島から5位指名された菊地 ハルン千葉学芸)もその一人。200センチの右腕である。

広島が高校生トップクラスの評価をしていたという菊地は、「夏の大会を終えてからの成長がすごかった」(高倉伸介監督)という。

 ストレートは140キロ前半から140キロ中盤まで速くなり、体重は104キロから110キロまで増えた。

 プロに入って菊地はどこまで成長するのだろうか。話を聞いた。

高校野球引退から始めたジム通いが覚醒のきっかけに

――ドラフト指名の瞬間、どんな気持ちになりましたか。

菊地ハルン(以下 菊地) まずは嬉しい気持ちでいっぱいでした。そしてこれまで取り組んできた努力が浮かんできました。

――5月の学法石川との練習試合では、まだ不安定なところがありました。7月の大会での模様を見ると、変化球をうまく使っていて、安定している印象を受けました。

菊地 自分としては全然満足していないですね。投球フォームもまだ安定感はありませんでした。夏の時点では自分の実力が足りなかったと思っています。

――夏が終わってからプロに向けてすぐ練習を始めたんですか?

菊地 そうですね。プロ入りを目指して、気持ちを入れ替えて練習しました。

インタビューを受ける菊地ハルン

――体重が104キロから6キロ増量の110キロ。どのようにして増量しましたか?

菊地 ご飯を沢山食べることもそうなのですが、筋トレ、体幹トレーニング、走り込みをしっかりと両立しながら、増量させてきました。

――トレーニングではどのように意識を変えていきましたか。

菊地 トレーナーの方から投球フォームの安定性を高める体幹トレーニングを教えていただき、夏が終わってからそのトレーニングを多めにやりました。実際に体幹を鍛えて、安定しましたね。より密度の濃いトレーニングをするために、野球部の練習に行かない日は野球部のトレーナーが働いている都内のジムに通っていました。

――そのジムに通ったことでどう変わっていきましたか?

菊地 体幹や、トレーニングのケアはもちろん、フォームの動きを1つ1つ教えてくれて、動きが変わりましたし、そのジムではレベルの高いステージでプレーしている方もいましたので、そういう方からどんな考えで取り組んでいるのかも聞くことが出来ました。

――夏前のインタビューでも体幹が大事だと語っていましたが、夏が終わってからより理解しながら取り組めた感じですか?

菊地 より身体のことを理解しながら取り組めたと思っています。それまでは大事といわれながらもただやっているだけでした。体幹トレーニングにもやり方があって、投球フォームにどう活かすのか。投球フォームもしっかりと見てもらったうえで教えていただきました。

――投球フォームについて変えたところはありますか?

菊地 投球フォームを変えたところはないです。今のフォームをまとめるだけです。今のフォームでも軸がブレなければ、動きも安定して、威力もあるストレートをコントロールよく投げることができるので、それを大事にしました。

ドラフト直前の9月、進化を実感した

1 2