昨年のドラフトで中日3位指名を受けた森 駿太内野手(桐光学園)は187センチ91キロの恵まれた体格を活かし、高校通算48本塁打の長打力、投手としても140キロを超える速球を投げる強肩、50メートル6秒1を誇る大型スラッガーである。

 1月の合同自主トレでは04年に三冠王を獲得した松中信彦一軍打撃コーチからもその打撃を高評価されている。期待のスラッガー候補の森の将来を考えていきたい。

 森の昨夏の神奈川大会での成績を振り返ると、18打数4安打6打点、打率.222と大当たりとはいかなかった。その要因には、常にフルスイングを仕掛けていたことがあげられる。森の打撃フォームを横から見るために三塁側から撮影すると、スイングスピードは実に速い。

 夏5回戦の湘南工科大付戦で放ったセンター前ヒットは新基準バットでも関係なく、鋭い打球を飛ばすことができていた。凡打になった打席を見ると、軸がぶれてしまい、ミスショットが多かった。そのため打率面で伸び悩んだのだろう。

 最後の夏で打率2割台でも中日3位指名を受けたのは、スイングの鋭さ、打球の速さが他の高校生野手と比べても速かったこと。また、スカウトたちは練習、練習試合をずっと視察している。公式戦以外の場面で、非凡なポテンシャルを見せていたことが考えられる。

 森は下級生からスラッガーとしての片鱗を見せる一打を打っていたのも大きいだろう。2年春の県大会3回戦には、横浜の左腕・杉山 遙希投手(西武)から豪快な本塁打を放った。その後の公式戦でもスケールあふれる打撃内容を積み重ねた結果が中日3位につながった。

 守備を見ても、抜群の強肩が光る。NPB基準でみると、打球の処理の仕方、スローイングフォームなどいろいろ修正するべきところはあるだろう。それでも脚力の高さ、肩の強さを活かし、しっかりと型を習得すれば、強肩ショート、あるいはサードへ育つだろう。非常に鍛えがいのある選手だ。

 そんな森の1年目だが、フルスイングをする中でもどうやってコンタクト力を高められるか。プロの変化球を見極めて、甘いコースを仕留める技術を身に付けられるか。

 それができるまでには相当な時間がかかり、二軍でも低打率が懸念される。打率面を気にするあまり、ミートにこだわってスイングが小さくなるのは避けていきたい。スカウトたちはプロでもスラッガーとして育つ可能性を持った森を評価してプロ入りしているので、そのスタイルは貫いてほしいところだ。

 ソフトバンク・柳田 悠岐外野手(広島商)タイプと評する声もあり、柳田は若手時代、二軍暮らしだったが、フルスイングをする中で、NPBでも打率を残せる技術を習得した。柳田のような成長が期待される。

 2年目から少しずつ真価を発揮し、二軍でも本塁打10本前後、高い長打率を記録できれば理想的だ。そして3年目以降から一軍でも勝負できる選手になりたい。26年にはバンテリンドームにはテラス席が設置され、野手にとって有利な環境になる。

 期待通りの成長曲線を描くことができるか。中日の未来を明るくする活躍を期待したい。

<森駿太(もり・しゅんた>

2006年12月25日生まれ 

右投げ左打ち 187センチ91キロ 横浜緑ボーイズ出身

桐光学園では1年春からベンチ入りした。2年春には2試合連続本塁打を記録。

2年秋は足の故障の影響で一塁手を守った。

3年春から夏にかけてサードで出場。