夏の大会で勝ち抜いて全国制覇をするには、年々厳しくなる酷暑といった環境に打ち勝つ精神力と体力が、選手それぞれのコンディションを左右することは間違いない。1度負けたら終わりのトーナメントを勝ち続けるプレッシャーがある。そのなかで、コンディションを管理・調整をしなければいけない。心身を鍛えることが、これからの高校野球では求められるところになるのではないか。

そこで今回は、長くアマチュア野球界に尽力し続けている名将・鍛治舎巧監督。さらに、全国あらゆる学校で実施しているゼット測定の担当者より、桐畑純一と北野裕大さんに話を伺い、これからの野球界に求められることを語ってもらった。

ピークは3回作る。そのためにトレーニングは欠かせない!

2024年は夏の甲子園で2部制が導入されるなど、酷暑に対する対応がなされた。が、選手治療のため試合が中断するシーンは見受けられ、大会後の報告では熱中症の疑いは58件だったという。

2023年から導入されたクーリングタイムを含め、今後も夏の暑さは向き合わないといけない部分。そこは鍛治舎監督も「連戦を戦い抜けるだけの身体やメンタルの強化は大事だと思います」と真正面から立ち向かっていく大切さを語る。

では、鍛治舎監督は秀岳館県岐阜商時代はどのようにして選手たちを鍛え上げて、厳しい夏を乗り越えてきたのか。

「公式戦にピークをもっていって、結果を出すことが目標になるので、各大会で毎回ベストな状態を作ることを心がけていました。
当時であれば、1つ目はセンバツや3月以降の春季大会を迎える前に照準を合わせて、オフシーズンにテーマをもって、トレーニングを重点的にやりました。12月は試合がない分、基礎トレーニングに時間を割いて、高負荷をかけながら実践もやって一度仕上げます。そこで出た課題を1月で解決するようにして、さらに完成度を高めていました。
2つ目は7月の大会、8月の甲子園を想定して、4~6月中に試合をしつつ、トレーニングをする。理想は甲子園決勝にピークが来ればと思っていましたが、最後は秋季大会を目標にして、7月から夏のメンバー関係なく、どうやってやるか考えました」

鍛治舎監督が意識したようなトレーニングプランは、多くのチームに訪問する桐畑さんも同意見だ。
「どのチームも必ず時間の勝負になりますから、まず3大会に対して照準を合わせたうえでどう作戦を練って、そこに向けてトレーニングをするか。計画して取り組んでいくことが非常に重要だと思うんです。そのための指標として、ゼット測定や知識を利用してもらって、大会に向けてピークを作れているチームが多いと思います」

大会毎でピークを持ってくる。そのためにトレーニングを通年やり続ける。夏の暑さはもちろん、大会で勝ちあがるためには、その取り組み方が1つのポイントだろう。

選手たちの仕上がりの確認でゼット測定が最適だった

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