いよいよNPBの春季キャンプがスタートしました。

各球団が発表したキャンプメンバーの顔ぶれを見ていくと、アマチュア時代の思い出が蘇ってきます。今回は一軍スタートをはたした期待の若手4名のアマチュア時代を紹介していきます。

着実に実力、思考力も進化した巨人の大卒3年目スラッガー・萩尾 匡也

 まず巨人の萩尾 匡也外野手(文徳-慶応大)です。今年で3年目を迎える大卒の外野手で、長打力を武器とする大型スラッガーです。文徳時代から評判の外野手で、2年生ながら4番を務めていました。初めて見たのは2017年、早稲田実、慶応を招いた招待試合です。萩尾選手は慶応との一戦で満塁本塁打を放ちました。強引に振り回すスイングで、リストの強さで飛距離を出すタイプの打者でした。試合後の取材では、緊張のあまり口数は少なかったことを思い出します。最終学年になると、高校通算40本近く打つまでのスラッガーへ成長し、福岡の久留米で開催された春季九州大会で再び見ることができました。

 3年生になった萩尾選手はスイング軌道がシャープになり、的確にボールを捉えることができるようになりました。取材後の談話では、試合内容の振り返り、打撃の意図、夏へ向けての課題などを具体的に答える姿勢が見られ、人間的な成長が感じられました。

慶応大では、東京六大学通算10本塁打を放ち、4年秋には三冠王を獲得するまでにブレイクしました。22年のドラフトでは巨人から2位指名を受け、昨年は一軍56試合で2本塁打、12打点、打率.215と少しずつ結果を出しています。二軍では打率.274、8本塁打、30打点と長打力を発揮しているので、一軍でその姿を披露してほしいです。

【萩尾の打撃は6:51秒から】

U-18代表での活躍で評価急上昇の巧打の捕手・寺地 隆成

高校時代の寺地

 2人目はロッテ2年目の寺地 隆成捕手(明徳義塾)です。寺地選手は高校1年春からベンチ入りし、2年夏には甲子園に出場。3年春には高校日本代表候補に選出されました。その時は三塁、捕手をそつなくこなし、高いミートセンスを発揮していましたが、大きなインパクトはありませんでした。ただ、高校日本代表に選出されてから印象が変わりました。早稲田大、駒沢大とのオープン戦を見ると、大学生投手に振り負けずに的確にボールを捉え、ライナー性の打球を飛ばしていました。試合後の取材では高卒プロへの強い思いと、バットコントロールの良さをアピールしたいと語っていました。

 大学日本代表との試合では、阪神ドラフト1位の下村海翔投手(九州国際大付-青山学院大)の149キロのストレートを痛烈な左前安打を放ち、U-18ワールドカップでも28打数8安打の活躍で世界一に貢献しました。日を重ねるごとに主力選手としてだけではなく、ムードメーカーとして寺地選手は存在感を示していきました。結果、このU-18代表で大きく評価を高めることができました。

 23年のドラフトではロッテから5位指名を受け、1年目から二軍で104試合、341打数、99安打、2本塁打、38打点、打率.291、出塁率.368と高卒1年目の野手としては突出した成績を残しました。昨年9月、オイシックスとの試合を三塁側から見ましたが、高校時代と比べても、胸板、腰回りが分厚くなった姿が見られ、打球の鋭さも増していました。

その試合では、安田尚憲内野手(履正社)、上田 希由翔内野手(愛産大三河-明治大)ら先輩のドラ1の打者も出場しましたが、寺地選手は飛ばす能力は劣りますが、ミート力は負けていなかったと思います。今年は一軍でどれだけ安打を打てるか。いずれは佐藤都志也捕手(聖光学院-東洋大)に負けないくらい「打てる捕手」として頭角を現すことを期待しています。

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