“超強肩”ぶりをプロの世界でも見せたい!打撃向上でブレイクを目指す二俣 翔一

 3人目は広島の5年目・二俣 翔一内野手(磐田東)です。今では内野手登録となっていますが、高校時代は二塁送球1.8秒台を誇る“超強肩捕手”として評価されていました。木製バットでも長打を打てる強打も発揮していました。20年の9月下旬に取材・撮影を行いました。

 二俣選手はキャッチボールから別格でした。まるで投手のような球筋でした。強肩の野手でもキャッチボールをすると投手と比べると伸びが劣りますが、二俣選手は投手のキャッチボールのようにバックスピンがかかった球筋で相手の胸元に投げることができていました。キャッチボールの意識についてこう語っていました。

「自分は低い軌道で投げられるなるべく遠くない距離で投げることを大事にしています。投げる時、ある程度ふんわり投げるのではなく、強く低くということを意識して投げています。リリースしたところ、上にいかずに下に行くように心がけています」

 二塁送球と打撃も見せてもらいましたが、肩の強さはこれまで取材した選手の中でもトップクラスでした。育成から支配下に昇格し、昨年は一軍80試合に出場しました。内外野を守っていますが、捕手時代から大事にしていたキャッチボールの意識が送球技術を支えていると思います。この1年は打率.180に終わった打撃面の成長が課題です。

 キャンプから進化の兆しを見せてほしいです。

育成14位指名から下剋上を狙う盛島 稜大

 4人目はソフトバンクの育成3年目・盛島 稜大捕手(興南)です。宮古島出身の盛島選手は、興南の野球に憧れ、島を出て、那覇市にある興南へ進学します。1年夏からベンチ入りし、着々と力をつけていました。そんな盛島選手を取材したのは21年12月です。当時興南ОBの宮城 大弥投手(オリックス)が高卒2年目にリーグ優勝に貢献する活躍を見せ、新人王確実という評価になっていました。宮城投手の恩師である我喜屋優監督にお話を聞くために沖縄まで赴きました。

我喜屋監督に話を聞いたあと、グラウンドで目についたのが盛島捕手でした。二塁送球を見せてくれましたが、力強い球筋でした。ロングティーでは、フォローが効いた豪快なスイングでレフト線からセンターの奥深くまで飛ばすことができていました。この時、高校通算9本塁打でしたが、最終的に高校通算32本塁打まで伸ばしました。公式戦盗塁阻止率100%の強肩を武器に22年夏の甲子園に出場し、プロ志望届を提出。巨人、ソフトバンクの2球団から調査書が届き、育成14位指名を受け、プロ入りの夢を叶えました。

 2年目の昨年は三軍・四軍の試合で99試合に出場し、4本塁打30打点、打率.299と強打を発揮できるようになりました。一軍キャンプに抜擢され、どれだけアピールできるか。昨年、支配下となった石塚 綜一郎捕手(黒沢尻工)に続く、2年連続での育成捕手による支配下昇格を期待したいと思います。

 この4人に限らず、12球団の支配下選手、育成選手にはアマチュア時代から見てきた選手や、実際に取材した選手もいます。多くの選手が力を出し切ったといえるシーズンになることを願っています。