2人のドラ1投手は何としても結果を

 多くの候補選手がいるが、特に注目したいのが、4年目の小園とドラフト1位の竹田だ。

 小園は21年、ソフトバンク・風間 球打投手(明桜)、阪神・森木 大智投手(高知)とともに高校生BIG3と騒がれた。阪神と競合の末、DeNAが交渉権を手にして、契約金1億円、年俸1320万円でスタートしたが、高卒3年目の昨年はわずか一軍登板が1試合で2.2回を投げて5失点に終わり、入団時の年俸もほぼ半減となる690万になった。最高評価でプロ入りしたが、結果を全く残せないで終わるのは、本人だけではなく、球団としても避けたいところ。

 昨年の課題は平均球速の遅さだ。一軍登板となった中日戦での平均球速が平均球速143.4キロだった。プロの先発投手の平均球速はほとんどが145キロ以上を超えており、小園は145キロを超えることが目標になる。平均球速が2〜3キロ以上速くなるだけでも、ネット裏から見るストレートの強さは段違いで、被打率も下がり、小園の持ち味であるコントロールの良さ、投球術の上手さも生きてくるだろう。ベイスターズが優勝するには若手投手が球団の想定を超える成長を示すこと必要だろう。小園はこのキャンプのブルペンからストレートの強さを見せているという。紅白戦、練習試合で去年の違いを見せてほしい。いきなり10勝を挙げれば、大きな躍進だが、5勝前後、50回〜100回は求めていきたい。

 竹田は社会人3年目でプロ入りし、今年で26歳を迎える。高校生、大学生のドラ1投手と違って、あまり猶予はない。昨年の公式戦では76.1回を投げており、防御率1.65だった。投球間隔を見ると、中5日、6日で短いスパンで登板したのは9月の日本選手権予選だった。18日のNTT西日本戦で98球を投げ、20日のパナソニック戦はリリーフとして登場し、8球を投げたぐらいで、公式戦での酷使はあまりない。最近は投球間隔が短い中で力投してきた大学生投手の長期離脱も見られるが、竹田はこうしたリスクがないのもプラス材料だ。投球を見ても、常時140キロ後半の速球、多彩な変化球を投げ分けて抑えており、完成度が高い。

 竹田は1年目から結果を残さないといけない投手だ。昨年のドラフトは竹田に加え、2位の篠木、4位の若松など実戦型の投手が多く、高卒の大型投手の指名が集中した日本ハムのような大化けを期待するのではなく、即戦力重視のドラフト。まずドラ1の竹田がローテーションとして活躍すれば、昨年のドラフトは評価できるものになる。竹田が先発ローテーションに入った場合、去年12先発して59回を投げた石田裕の成績は超えてほしい。

 中継ぎになった場合でも40試合〜50試合は期待したい。

 昨年のDeNAの勝利数は71勝で貯金はわずか2だった。優勝した巨人は77勝で、貯金は18で、23年に日本一になった時の阪神は貯金32だった。優勝するには、20以上が目安となる。今回は小園、竹田の2人の名前を挙げたが、まず4本柱がきっちりとローテーションを守り、多くの先発候補が躍動して、勝ち星を上げれば、98年以来の優勝は大きく近づくはずだ。

【DeNAの先発候補の昨年の成績】

東 克樹        26試合 26先発 13勝4敗 183回 140奪三振 防御率2.16

アンドレ・ジャクソン 25試合 25先発 8勝7敗 143回 121奪三振 防御率2.90

アンソニー・ケイ   24試合 24先発 6勝9敗 136回 119奪三振 防御率3.42

石田 健大       6試合  6先発 2勝3敗 32回  24奪三振 防御率3.38

平良 拳太郎      4試合  2先発 2勝0敗 29.2回 22奪三振  防御率1.21

石田 裕太郎      12試合 12先発 4勝3敗 59回 39奪三振  防御率3.97

吉野 光樹       7試合  7先発  3勝2敗 31.1回 29奪三振 防御率4.31

庄司 陽斗    (二軍)21試合 8勝5敗 107.1回 73奪三振 防御率2.35

小園 健太         1試合 0勝1敗 2.2回 3奪三振 防御率16.88

         (二軍)18試合 3勝3敗 70.2回 47奪三振 防御率4.46

松本隆之介        1試合 0勝0敗 5回 4奪三振 防御率3.60

         (二軍)19試合 3勝1敗 59.2回 52奪三振 防御率3.02