昨年の二部制には問題も多かった

 ただ、昨年の二部制は導入初年度ということもあり、不完全なものだった。そのため、甲子園初日の夕方から登場するチームの調整が困難を極めた。選手たちは朝8時半の開会式に参加するため6時半には球場入りしていた。

 初日の18時52分に始まった第3試合の智弁学園vs岐阜城北の一戦は大荒れの試合となってしまった。9対6で智弁学園が勝利したが、智弁学園は3失策、岐阜城北は7失策を喫し、試合が終わったのは、21時36分。智弁学園の選手たちは、開会式の後、宿舎に戻って1時間ほど昼寝してからストレッチして、調整をしたが、思い通りのプレーはできなかった。

 一方で、昨年、2日目以降の夕方に登場した選手たちからは好評の声が多かった。2日目の第3試合に行われた京都国際vs札幌日大の一戦は7対3で京都国際が快勝。試合時間は2時間1分で、札幌日大は3失策だったが、京都国際は1失策。試合を見ていても、両チームとも集中力の高いプレーをしていた。京都国際の正捕手・奥井 颯大は「はじめから夕方の試合で準備もしやすかったですし、日中よりはプレーはしやすかったです」と振り返る。

 今夏の甲子園の新スケジュールは、昨年出た課題の改善、現場の声を大きく反映したものだ。昨年、大会本部が報告した選手の熱中症疑いは大会を通じて、58件、のべ56人で、そのうち大会初戦が全体6割となる35件35人だった。この数字は今年の変更によって改善されることを期待したい。