第97回選抜高校野球大会(センバツ)の出場32校が決まり、球児たちは3月18日の開幕に向けて準備を進めている。大会で注目される球児たちを紹介していきたい。

 昨年秋、近畿大会4強入りを果たした市和歌山(和歌山)を支えたのは、エース右腕の土井 源二郎投手(2年)だった。近畿大会初戦から2戦連続で完封勝利。三田学園(兵庫)相手の初戦では、9回10奪三振の快投で、無四球完封でもあった。

 真上から振り下ろすようなフォームで、縦の変化球が有効だった。落ちる球、曲がる球も低めに決まり、高めの直球との緩急もついた。三田学園戦はその投球術が見事にはまっていた。腕の振りがコンパクトで、踏み出す左足を極限まで我慢することで、打者との独特の間が生じ、そこも「緩急」となっている。3試合で23安打9失点(自責4)だった和歌山県大会の2次予選の結果が別人と思えるように、近畿大会で急成長を見せつけた。

 この冬のトレーニングで、138キロだった直球の最速も、140キロを超えるようになったという。近畿大会3試合、19.2回を投げて与えた四死球はわずか1。制球で崩れることのない安定した投手が、さらなる「武器」を得たことになる。

 2021年DaNAにドラフト1位指名された小園 健太投手という誇れるOBがいる。近年、好投手を生んできたチームの「1」を背負った土井が、センバツの舞台でさらなる成長を見せてくれることだろう。

 

【土井の和歌山県大会2次予選、近畿大会の成績】

<和歌山県2次予選>

準々決勝(初芝橋本)9回12安打4奪三振3失点(自責1)

準決勝(和歌山東)8回10安打2奪三振6失点(自責3)

3位決定戦(日高)1.1回1安打1奪三振0失点

<近畿大会>

1回戦(三田学園)9回5安打10奪三振0失点

準々決勝(立命館宇治)6回2安打1奪三振0失点

準決勝(智弁和歌山)4.2回9安打1奪三振4失点