1月24日、センバツ大会出場校32校が発表され、いよいよ高校野球も春を迎えようとしている。一方、センバツ切符を逃した学校は、昨秋の悔しさをバネに日々練習に励んでいる。「一冬越えれば化ける」とも言われるこの期間。春、夏でリベンジに燃える球児たちは、どんな成長を遂げているのか。全国各地で巻き返しを誓う学校の「今」を指揮官の言葉からひも解く。
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高校野球では、2023年から女子マネジャーも試合前にノックを打つことが認められるようになった。最近では試合前ノックを女子マネジャーが担当するのは珍しくない。
薩南工(鹿児島)のマネジャー・道祖田実々さんもその一人だ。
「『夏の大会で試合前の内野ノックを打とう』を目標にして少しずつやってもらっています」と同校の西垣 浩希監督は言う。
道祖田さんはマネジャーでありながら、時折女子チームの練習に参加している。兄がプレーしていたことから薩南工にマネジャーとして入部したが、選手としてプレーもできるため、「内野ぐらいはできますし、上手いですよ。選手たちも一目置いている、すごくありがたい存在です」と監督も太鼓判を押す。
薩南工には生活科学科があり、そこで学ぶ道祖田さん。その成果を生かして補食ではかつ丼など毎日丼ぶりを出しているという。
チームは現在、目標体重として「身長-100キロ」を掲げているため、「すごく料理が上手くて、レベルが高い。凄く助かっている」という。だが悩みの種は、レベルが高すぎるため、補食で満足してしまう選手もいることだ。
「私立と比較すると、フィジカルなどの部分で弱さを感じるので、トレーニングはもちろん、食事を含めて取り組んでいます。寮生活ではないので、思うように増えずに苦労する選手もいるんですが、意識が浸透しきっていないところは、甘さかなって悩んでいるところです」
“我慢強く続ける”、“継続する”ことがトレーニング同様、プレーにおいてもチームの課題だ。
「秋の大会、勝ちかけていた展開でしたが、エラーから同点、そして逆転まで許してしまったんです。最後の夏の前に経験できたのがよかったと思いつつ、今度はエラー絡みで失点しないようにしたい」
チームの攻守の要は二木 圭祐捕手(2年)。3月下旬には早くも春季大会が控えるが、西垣監督は「最低でも2つ勝ってベスト16には入りたい」と話す。そこまで勝ち上がれれば、春季大会後に控えているNHK旗大会にも出場ができる。春から加わる1年生たちにも、公式戦の場で見せることができるのだ。
まずは春の大会で結果を残す――。薩南工のシーズンがいよいよ始まる。