春の訪れを告げる第97回選抜高校野球大会(センバツ、甲子園球場)が3月18日に開幕する。参加32校が発表されているが、そのラインアップに大阪勢は含まれていない。大阪勢がセンバツに出場しないのは、1927年の第4回大会以来、98年ぶり2度目のことである。

 今センバツは大阪の高校野球ファンにとって、少々、物足りなさを感じる大会となるかもしれない。しかし、プロ野球に目を向けると、大阪勢OBの名前が、現在キャンプ真っ盛りのこの時期に全国を駆け巡った。

 12日、沖縄で行われた「中日2軍ーDeNA」の練習試合で、DeNAが1回表のプレーボールから、3者連続本塁打を放ち、つめかけたファンの度肝を抜いた。1番・度会 隆輝外野手(横浜高ーENEOS)、2番・森 敬斗内野手(桐蔭学園)が連発すると、3番に起用されていた松尾 汐恩捕手(大阪桐蔭)も左翼越えのアーチを放った。松尾は大阪桐蔭(大阪)時代、22年センバツ優勝に大きく貢献。2アーチを放ち、チームとしての大会11本塁打の記録にも貢献した。プロ3年目で正捕手取りに挑戦する今年。「打てる捕手」として、最高のアピールとなった。

 松尾を含め、3者連続本塁打を浴びた「不名誉」な投手は、中日2年目の福田 幸之介投手だった。履正社(大阪)出身の最速151キロ左腕。松尾の1年後輩で「大阪桐蔭OB対履正社OB」対決だったわけだが、先輩に軍配が上がったことになる。

 松尾はその後もヒットを重ね6打数3安打2打点の活躍。一方の福田は、先発3回を投げて10安打を浴び7失点でマウンドを降りた。プロ1年目の昨年はケガに苦しみ、今年も2軍スタートも、ここまで好調だっただけに、ショックは大きいだろう。

 その福田と同期で、高校3年夏に福田に大阪大会決勝で投げ負けた大阪桐蔭のOB、ソフトバンク・前田 悠伍投手は、11日に打撃投手として打者と初めて対戦。主力級を含めた8人をヒット2本に抑えた。2年目の今年は先発ローテーションとして期待されている左腕。首脳陣からは、辛口の評価もあったようだが、それも高いレベルで勝負できる投手として期待されている証拠だろう。今後、実戦形式での結果にも注目される。

 DeNA松尾、中日福田、ソフトバンク前田悠は、高校時代、大阪代表として甲子園で活躍してきた。実は、この日の「中日2軍ーDeNA」の練習試合には、中日の4番手として根尾 昂投手(大阪桐蔭)も登板。1回2安打1失点の結果だった。中日育成の加藤 竜馬外野手(大阪偕星ー亜細亜大ー東邦ガス)も代打で出場(三振)。大阪勢OBが、それぞれ勝負のキャンプを送っている。

 3月18日、甲子園で開幕するセンバツには大阪勢の姿はないが、大阪勢OBらが、プロ野球のオープン戦で開幕に向けて活躍する姿に期待したい。