昨秋のドラフトで、2m右腕・菊地 ハルン投手(広島5位)を輩出した千葉学芸に今年もプロ注目投手がいる。

それが146キロ右腕・新田 継吾投手(2年)だ。167センチ73キロと投手として小柄だが、回転数2400のストレートがスカウトの目をくぎ付けにしている。菊地は長身を活かした角度のあるストレートが持ち味だったが、新田は制球力が高い上に、リリースから捕手ミットまでラインを引いたかのように収まる、いわゆる伸びのあるストレートを投げることができる。さらにスライダーのキレもよく、投球にまとまりがある。

 千葉学芸の高倉伸介監督は言う。

「スカウトの方によると、高身長ではない投手には、角度が使えない分、伸びのあるストレートを投げられることが求められます。新田は球質、実戦力に関してはハルンより上だと思っています。その良さを買って、注目してくださるスカウトの方がいらっしゃいます」

 そんな新田だが、昨年から菊地との2枚看板として活躍が期待されていた。しかし昨年3月、練習試合で右腕骨折。長期離脱してしまい、今春からの飛躍を目指している。

順調にスピードアップもまさかのアクシデント…

 
インタビューを受ける新田

 神奈川県横浜市出身の新田。瀬谷ボーイズ時代は、最速137キロを誇る速球投手として注目され、県内外の強豪校から誘われる存在だった。その中から指導者に薦めてもらったのが千葉学芸だった。

千葉学芸の渋谷 健朗コーチは瀬谷ボーイズ出身で、1学年上の渡邉 憲信さん(捕手・横浜商大進学)も瀬谷ボーイズの先輩でした。千葉学芸は春の県大会(21年)で優勝していて、プロ野球選手も輩出していて、『ここならば、甲子園に行けるだろう』と思い、選びました」

 入学直後にベンチ入り。1年春の練習試合の段階から常時130キロ後半の速球を投げ込んでおり、スライダーの切れ味も鋭く、とても入学したばかりの1年生とは思えないほどでき上がっていた投手だった。高倉監督も「気持ちも強い投手ですし、将来のエースです」と期待を寄せていた。

 順調に冬の練習を送り、トレーナーから体の使い方、体重移動を教わり、春先の練習試合では最速146キロを計測。手応えを掴んでいた矢先にアクシデントが起こる。

昨年3月、城西国際大とのオープン戦で登板した新田はベースカバーの際に相手打者と交錯してしまい、転倒した際に右腕を痛めたのだ。

「転倒した時、『痛い!』と思って、投げようと思ったら力が入らずに全く投げられず、これはやばいなと思って…。監督さんから『無理するな』といわれ、降板しました。ハルンさんと2枚看板で活躍したい思いはありましたし、春、夏へ向けてやってきて、怪我してしまい、スタートが遅れて本当に悔しかったですね」

 結果は右ヒジ骨折。長期離脱となった。高倉監督は「彼にとっても、チームにとっても痛いアクシデントでした。大事な戦力とはいえ、彼の将来が大事。しっかりと話し合って、夏は諦め、完全復活できるまでリハビリを行うことを決めました」と当時を振り返る。
【新田の投球は8:48秒から】

「自分はスケールで勝負できないので、投球内容にこだわりたい」

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