第97回選抜高校野球大会(センバツ)は3月18日に開幕(阪神甲子園球場)を迎える。大会開催を前に、出場校の過去のセンバツの戦いぶりを振り返る「出場校あの日・あの時」を紹介していく。今回は東海大札幌(北海道)を取り上げる。
今から10年前の2015年。今年のセンバツ出場が決まっている東海大札幌が、東海大四だった頃、北海道勢52年ぶりとなる決勝に進んだ。北海道勢としては、北海がPL学園(大阪)、早稲田実(東京)などを破って決勝に進んだ1963年以来の決勝進出とあって、北海道初のセンバツ制覇への期待も大きく膨らんでいた。残念ながら敦賀気比(福井)に敗れてしまったが、北海道勢の歴史に刻み込まれる快進撃だった。
初戦、豊橋工(愛知)相手に、大澤志意也投手(3年)がわずか3安打10奪三振の完封勝利。4回以降はノーヒットに抑える快投だった。2回戦は21世紀枠出場の松山東(愛媛)相手に、8回に2点差をひっくり返す大逆転勝利。準々決勝では、健大高崎(群馬)を相手に、「権濤源(ごん・とうおん)投手(2年)ー大澤」のリレーで虎の子の1点を守り切って、センバツ初の4強入りを果たした。
そして、準決勝では浦和学院(埼玉)に勝利。前年の明治神宮大会準々決勝で対戦し、6回コールドの0-10で大敗していた相手だった。エース大澤が14安打を浴びて10失点(自責5)と屈辱を味わっていたが、冬を越えたセンバツでは、大澤をはじめチームが雪辱を果たす。大澤が9安打されながらも1失点完投すれば、バックも好守備でエースを盛り立て、逆転勝利を飾った。
敦賀気比との決勝は、1対1で終盤を迎えた8回に2ランを浴びて敗戦したが、その年のドラフトで日本ハム4位指名される平沼 翔太投手(現西武)と投げ合った大澤に、甲子園の観客も惜しみない拍手を送った。
歓喜に沸いた準優勝の翌年、2016年4月に東海大札幌に校名変更。そして今年、現校名となって初となるセンバツ出場を決めた。昨年秋の明治神宮大会では、左腕の矢吹 太寛投手(2年)の好投などで、東海王者・大垣日大(岐阜)を破って1勝を挙げている。センバツで、あの日の快進撃再来に期待が高まる。
10年前のセンバツのマウンドで554球を投げた大澤は、卒業後、東海大-三菱重工Eastでプレーし、25歳で引退。故郷・北海道に戻って札幌市内の保険会社で営業職として働きながら、地元のアマチュア野球界で指導する日々を送っているという。