第97回選抜高校野球大会(センバツ)は3月18日に開幕(阪神甲子園球場)を迎える。大会開催を前に、出場校の過去のセンバツの戦いぶりを振り返る「出場校あの日・あの時」を紹介していく。今回は2009年に初出場ながら準優勝した花巻東(岩手)にスポットを当てる。
今や、プロ野球界に多くの名選手を送り出している東北の強豪・花巻東は、「センバツデビュー戦」で、準優勝という輝かしい実績を残している。その原動力となったのは、言うまでもなく、メジャーで活躍中の菊池 雄星投手だった。
初戦の鵡川(北海道)戦では、9回1死まで無安打と、あわやノーヒットノーランの2安打完封劇。2回戦では、のちにソフトバンクの名遊撃手となる今宮 健太内野手擁する明豊(大分)を相手に、12奪三振の快投で、2試合連続完封勝利を挙げて見せた。前年の夏に甲子園デビューも、敗戦投手となっていた悔しさを晴らすように、菊池の左腕がうなりを上げた。
準々決勝の南陽工(山口)戦ではリリーフ登板&決勝打で4強入りに貢献。準決勝の利府(宮城・21世紀枠)戦では2失点完投で、岩手県勢初の決勝進出を果たした。決勝では、のちに広島で活躍する今村猛投手を擁する清峰(長崎)と対戦。息詰まる投手戦を演じた末に、0対1の敗戦。わずか1失点に泣き、優勝こそ逃したが、初戦で152キロをマークするなど、菊池が大会の話題をさらっていた。
花巻東は2012年には「伝説の試合」をセンバツで披露する。現在、メジャーで大活躍中の大谷 翔平投手を擁して臨んだ1回戦で、同じく阪神からメジャーで活躍中の藤浪 晋太郎投手を擁する大阪桐蔭(大阪)と対戦。大谷は投手として9回途中9失点(自責5)で敗戦投手となったが、打者としては藤浪から第1打席で驚愕の本塁打を放つなど、素質の高さを証明していた。
2018年には現在巨人で活躍する西舘 勇陽投手を擁してセンバツに挑み、準々決勝でまたも大阪桐蔭に敗れたが、2勝して8強入りしている。ちなみに、22年は高校通算140発の佐々木 麟太郎内野手(米スタンフォード大)が、2年生の時に出場し初戦敗退している。
今年も巨人・古城茂幸3軍打撃コーチを父に持つサラブレッドの4番・古城 大翔内野手(1年)を擁してセンバツに挑む花巻東。また新たな「伝説」が誕生するかもしれない。