昨季リーグ6位に沈んだ西武。チーム打率、本塁打数、打点などチームの打撃成績は軒並みリーグ最下位となった。明確な課題を抱えるだけに、打線の奮起が再起のカギを握っている。

 今年は異例のスタメン9人全員がレギュラー白紙状態。野手陣の激しいアピール合戦が期待される中、打線の核となる4番打者は気になるところだ。昨年は序盤から固定できずにいたが、中盤から岸 潤一郎外野手(明徳義塾―拓殖大(中退)―徳島インディゴソックス)が担い、その後は山村 崇嘉内野手(東海大相模)、佐藤 龍世内野手(北海富士大)が座った。シーズンを通して見ても計10人が乱立する事態となった。

「4番不在」の解消へ。今オフはオリックスを自由契約となっていたレアンドロ・セデーニョ内野手、新外国人のタイラー・ネビン外野手を獲得し、打線の強化を図った。特にセデーニョは昨季15発を記録し、今春のキャンプではフリー打撃で推定140mの特大弾を放っている。このまま順調なアピールを続ければ、4番候補筆頭であることは間違いない。

 助っ人はもちろん、和製大砲の存在も上位浮上には欠かせない。昨年終盤に4番を務めた佐藤らとの争いになるが、候補の一人にあがるのが2年目の村田 怜音内野手(相可―皇学館大)だ。196センチ、110キロの恵まれた体格を誇る長距離砲。昨年5月にはプロ初安打、初打点を記録したが、出場4試合目に左膝後十字靱帯損傷で離脱した。復活を期すべく出場した昨秋の台湾のウィンターリーグでは、13安打中10本がシングルヒット。自慢の長打だけでなく繋ぐ打撃も見せると、春季キャンプでは防球ネットに直撃する特大の一発を放った。自慢のパワーに打撃も兼ね備えた2年目の長距離砲が、開幕4番候補に名乗りを上げている。

 ドラフト2位ルーキーの渡部 聖弥外野手(広陵大阪商業大)も楽しみな存在。大学日本代表で4番を務め、広角に飛ばすことが出来る打撃が最大の魅力だ。現状、外野手のスタメンはがら空き状態となっており、打撃でアピールすれば十分開幕スタメンを狙える。今後の実践次第では思い切った起用で、新しい風を吹かせる活躍を期待したい。

 もちろん、昨年のシーズン終盤で勤めた佐藤、山村も黙ってはないだろう。かつて“山賊打線”として恐れられた攻撃陣の復活へ。獅子の未来を担う打者に注目したい。