第97回選抜高校野球大会(センバツ)は3月18日に開幕(阪神甲子園球場)を迎える。大会開催を前に、出場校の過去のセンバツの戦いぶりを振り返る「出場校あの日・あの時」を紹介していく。今回は1997年に初優勝を飾った天理(奈良)を振り返りたい。
左腕の小南浩史投手と、右腕の長崎伸一投手(ともに3年)の「ダブルエース」が原動力となって、天理のセンバツ初優勝を導いたといっていい。変化球を中心とした打たせて取るタイプの小南と、速球中心で押すタイプの長崎。タイプの異なる投手2人が大きな戦力となった。
初戦は小南から長崎への継投でしのぎ、徳島商(徳島)にサヨナラ勝ちすると、2回戦では小南が浜松工(静岡)を7安打完封。準々決勝では、長崎が西京(山口)相手に10奪三振1失点完投。上宮(大阪)との準決勝は、小南が5安打1失点完投で逆転勝ちを呼び込んだ。そして迎えた決勝では、長崎が強豪の中京大中京(愛知)を毎回の11奪三振、1失点で振り切って、歓喜の瞬間を迎えた。2人が競うように好投を重ね、チームが徐々に強くなっていった。
後に長崎はプリンスホテルを経て、2000年にドラフト3位でロッテへ、バッテリーを組んだ主将の東辰弥捕手は、早稲田大を経て2001年ドラフト9巡目で阪神に入団している。
天理はセンバツでは今回で27度目の出場。夏甲子園も29度の出場がある。全国でも出場回数は上位に入り、優勝は夏2回、春1回。夏12度目の出場となった1986年に春夏通じて初優勝を果たし、センバツは16度目の出場でようやく優勝を果たしたことになる。
それ以降、春夏通じて甲子園決勝の舞台から遠ざかっている。昨年秋の近畿大会では、下坊 大陸投手(2年)と伊藤 達也内野手(2年)のリレーで4強入り。今年も「二枚看板」が武器になる。24年1月から指揮を執る天理OBの藤原監督は、天理大監督として阪神リーグで11回制覇している。新監督と「二枚看板」で、天理が新たな伝説に挑む。