第97回選抜高校野球大会(センバツ)は3月18日に開幕(阪神甲子園球場)を迎える。大会開催を前に、出場校の過去のセンバツの戦いぶりを振り返る「出場校あの日・あの時」を紹介していく。今回は「平成の怪物」こと松坂大輔投手(元レッドソックスなど)を擁して最強チームと呼ばれ、1998年センバツを制した横浜(神奈川)に迫る。
昨年秋の関東大会を制し、明治神宮大会も優勝した横浜は、過去甲子園では春3回、夏2回優勝を果たしている。センバツは1973年に初出場初優勝を果たし、その後1998年、2006年に優勝。夏は1980年と1998年に優勝した。そのなかでもやはり、強かったのは1998年春夏連覇した「松坂世代」のチームだろう。
大黒柱の松坂だけでなく、亜細亜大からJR東日本を経て中日に入団した小山良男捕手、法政大を経て西武入団の後藤武敏内野手、横浜(現・DeNA)に入団した小池正晃外野手ら、中心選手が卒業後にプロ野球界入りを果たした。前人未踏の公式戦負けなしの44連勝を誇ったチームは、1998年センバツでも強かった。
初戦の報徳学園(兵庫)との名門対決で、松坂が6安打2失点完投勝利でスタートすると、東福岡(福岡)との3回戦では、松坂が13奪三振2安打に抑え、三塁を踏ませない完封勝利。後藤の一発も効き、のちに横浜(現DeNA)入りする村田修一投手との投げ合いに完勝した。準々決勝では松坂が自ら適時打を放つなど、郡山(奈良)相手に5安打完封で4強に進んだ。
一番の難関だったかもしれないのは、準決勝のPL学園(大阪)戦だった。先発の松坂は6回に2点を先制され劣勢だったが、終盤に相手のミスにつけこんだ横浜が逆転に成功する。追いすがるPL学園打線を松坂が振り切り1点差で勝利。その年の夏甲子園で、伝説の延長17回激闘を演じる両チームが、まさに「伏線」となる試合を演じていた。
決勝は関大一(大阪)に3対0で快勝。松坂が4安打完封勝利を挙げれば、関大一の右腕エースで、後にロッテ、阪神などで活躍した久保 康友投手に13安打を浴びせた。
松坂はこのセンバツで、春夏通じて甲子園で初めて150キロを超える球速をマーク。結局、誰にもマウンドを譲ることなく5試合完投でチームを優勝に導いた。
今年も、奥村 頼人投手(2年)、織田 翔希投手(1年)の左右二枚看板に、プロ注目の1番・阿部 葉太外野手(2年)らを擁し、タレント軍団として昨年秋の明治神宮大会を制した。ここまで新チーム公式戦負けなしの15連勝を続けている。あの「松坂世代」再来となるのか。優勝候補筆頭の戦いぶりは見逃せない。