昨年まで12年連続NPBドラフト指名を受ける四国アイランドリーグplusの「育成の雄」徳島インディゴソックス。今年も対外試合4試合を終え、早くも13年連続ドラフト指名へ向けた選手たちの先陣争いが激化している。その中で、まず一歩を踏み出したのが高卒2年目の193センチ右腕・篠崎 国忠投手(修徳)である。

 高校3年時には修徳のロングリリーバーとして最速148キロをマーク。ドラフト前に8球団から調査書が届くなど、大きな期待を担って2024年、「1年でも早くNPBへ入るために」独立リーグの道を選択した。昨年は練習試合を中心に結果を残し、公式戦でも2試合3回を投げ防御率0.00と、試合を作る能力の一端を示した。一方で、ストレートの球速は140キロ前後。徳島インディゴソックスの強みであるストレングストレーニングへの順応が遅れたことが響き、2度目のドラフトでも調査書は届いたものの、最終的には指名漏れに終わった。

 しかし、高卒2年目の今季は課題だった球速に明らかな変化が。実戦初登板となった2月8日のアークバリア戦で自己最速の150キロを連発すると、続く2月14日の埼玉西武ライオンズ2軍との練習試合でも急成長の成果を見せ付けている。

 6回裏から4番手のマウンドに立った背番号21は、制球が定まらず2安打3四球で2点を失ったものの、自己最速を塗り替える152キロを計測。計8球で150キロ超をマークし、アークバリア戦での球速がフロックでないことを証明すると、続く7回裏は出力を140キロ後半に敢えて抑えた中で、一軍経験豊富な蛭間 拓哉外野手(浦和学院早稲田大)、野村 大樹内野手(早稲田実ーソフトバンクホークス)ら、上位打線をわずか10球で三者凡退に仕留めた。

 この圧巻投球にはスタンドや徳島の三塁ベンチのみならず、西武側からも度々感嘆の声が。ただ「結局点は取られてしまっているんで」と、あまり満足感を示さなかった彼は、徳島に戻るとチームのトレーニング施設である「インディゴコンディショニングハウス」へと直行。疲労ももろともせずマウンドの傾斜を模した機器の上で2キロのメデシンボールを持ち、接地までのシャドーピッチングを何度も繰り返した。

「オフシーズンからこのトレーニングを続けたことでフォームが安定するようになりました。7回裏の投球は意識を変えたというより、原点に立ち返った結果だと思います」と、篠崎は昨年多々あった抜け球の数が激減した一方、低めへと唸るように突き刺さる軌道が増えた理由を明かした。

 今後公式戦で身体を制御したまま出力を上げ、絶対的変化球を加えることができれば……。日本人離れした体格に恵まれた20歳がこの秋、ドラフト主役の座に昇りつめたとしても全く不思議ではない。