藤浪 晋太郎(大阪桐蔭出身)がシアトル・マリナーズとマイナー契約を結び、招待選手としてメジャーのキャンプに参加している。
メジャー3年目を迎える藤浪だが、1年目はアスレチックスとオリオールズでプレーし、計64試合、7勝8敗、防御率7.18。2024年はメッツとメジャー契約を結んだが、オープン戦で5試合、防御率12.27と結果を残せず、開幕前にマイナー降格となった。マイナーでは14試合で防御率10.95と苦しみ、2年目はメジャー登板がないままシーズンを終えた。2025年はマイナー契約ながら、招待選手としてキャンプに参加しているが、藤浪がメジャー契約を勝ち取るにはどのような数字が求められるのだろうか?
「まずはストライクを取る能力が求められるでしょう」と話すのは、DeNAに在籍し、2015年にはレンジャースのマイナーでプレーした経験を持つ冨田 康祐氏だ。
「アメリカでは初球ストライク率、1-1からのストライク率、先頭打者をアウトにする確率がそれぞれ60%以上求められます。60%という数字はメジャーで活躍する投手の平均から算出された数字です。私が在籍していた時もコーチにストライク率のことを頻繫に言われていて、これはほとんどの球団が重視している点だと思います。結果的に無失点で抑えた投手でも、これらが60%以上に達していなければ、長い目で見ると、大量失点をしたりして、不安定な印象を持たれてしまいます」
だが、藤浪は制球面に課題を抱える投手である。特に昨年は12.1回を投げ27四死球を出すなど、制球難が露呈した。冨田氏はマリナーズの獲得理由を次のように考察する。
「マリナーズも理由なく藤浪投手を獲得したとは考えられません。環境が変わって、自分が考えていないポイントを指摘され、そのスタイルがハマって一気に活躍する選手も多くいます。特に藤浪投手は160キロの直球やスプリットなど、能力がずば抜けているので、制球が安定すれば、大きな戦力になり得ます」
『Baseball Savant』によると、2023年に藤浪が記録したストレートの平均球速158キロはメジャーの上位3%に入っている。制球に苦しみながらも、空振り率は平均を上回っており、制球の改善が見込めれば、大きな戦力となりそうだ。
そのためにも、まずはメジャー契約を勝ち取ることが必要であり、オープン戦は結果だけでなく、ストライク率といった内容も求められることになる。それ以外にも招待選手という立場上、他の選手との兼ね合いもあるようだ。
「メジャーのキャンプは入れ替わりが激しいです。トレードや急に独立リーグから選手がやってくるケースもあります。また、マイナー拒否の契約の選手もいて、競争は熾烈です。一方でメジャーの選手が故障するケースもあるので、藤浪投手にも充分チャンスがあると思います」
スプリングトレーニングでどのような投球を見せるか、藤浪の活躍に期待したい。