第97回選抜高校野球大会(センバツ)は3月18日に開幕(阪神甲子園球場)を迎える。大会開催を前に、出場校の過去のセンバツの戦いぶりを振り返る「出場校あの日・あの時」を紹介していく。今回は、2014年に8強に進んだ明徳義塾(高知)にスポットを当てる。

 明徳義塾は今回のセンバツで21度目の出場となる。初出場は校名が明徳だった1982年で、翌年には4強に進んでいる。以降、2004年に再び4強入りを果たすが、センバツ最高成績はこの4強。夏は2002年に優勝はあるが、センバツでは決勝に進んでいない。

 そのなかで、印象的だったのは2014年の戦いぶりだった。チームの中心は、エース右腕の岸 潤一郎投手。現在は西武で外野手として活躍する投打「二刀流」のセンスあふれる選手がいた。

 8強止まりで終わった大会ではあったが、3試合の内容が「濃い」過ぎた。初戦で延長15回、2回戦は1点差、準々決勝は延長11回と、激闘が多かった。それも、智弁和歌山(和歌山)、関東第一(東京)、佐野日大(栃木)と強豪揃いで、そのメンバーもすごかった。

 智弁和歌山戦では2回に1点を先制されるも、5回に追いつく。そのまま延長戦に入ると、12回に1点を奪われながらも、その裏にまたも追いつく粘りを見せる。最後は15回に相手投手の暴投でサヨナラ勝ちを収めた。その「相手投手」とは、のちにロッテに入団する東妻 勇輔投手。12回途中から2番手として登板していた右腕を攻略して見せた。岸は先発して12安打されながら粘り強い投球で15回を完投。実に188球を投じた。

 関東第一には見事な逆転勝ちを収めた。1対2で迎えた5回に3安打を集中して2点を奪って試合をひっくり返し、先発した岸は6安打11奪三振の力投で完投勝利を収めた。

 佐野日大との準々決勝は、まさに「死闘」だった。序盤は1対4と劣勢だったが、6回に炎の5連打を見せ一気に4得点。5対4と形勢を逆転させた。7回に同点とされて、大会2戦目となる延長戦へ。結局、11回表に2点を奪われて敗れてしまったが、明徳義塾の粘りのある戦いぶりは、伝統の力といわざるを得なかった。佐野日大のエースは、現在オリックスで活躍する左腕、田嶋 大樹投手。のちにプロ野球で活躍する投手同士の対決だったことになる。

 明徳義塾ナインは、ある目標で心をひとつにしているという。「馬淵監督をセンバツ優勝監督にしたい」。昨年秋に国民スポーツ大会(旧国体)を初制覇。夏甲子園は2002年に1度優勝している。残るはセンバツ。馬淵監督が初めて胴上げされる春となるのか。

2014年センバツ明徳義塾のスコア

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