1月24日、センバツ大会出場校32校が発表され、いよいよ高校野球も春を迎えようとしている。一方、センバツ切符を逃した学校は、昨秋の悔しさをバネに日々練習に励んでいる。「一冬越えれば化ける」とも言われるこの期間。春、夏でリベンジに燃える球児たちは、どんな成長を遂げているのか。全国各地で巻き返しを誓う学校の「今」を指揮官の言葉からひも解く。
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今や日本球界を代表するクローザーの巨人・大勢投手(西脇工出身)。彼が自主トレでグラウンドを訪れた際の姿に、京都共栄で指揮官を務めている木谷 忠弘監督は驚いた。
「全く安心しているところがありませんでした。細かな動作を1つ1つ確認しているようでした。選手たちは生で一流選手を見られて、刺激になったと思います」
木谷監督は大勢の恩師でもある。
大勢は最後の夏、5回戦で育英に敗れてから、関西国際大で活躍して巨人へ進んだ。一方の恩師・木谷監督は2022年秋、西脇工から京都共栄の指揮官に就任した。そして2023年、2024年の春にベスト8入りと、早くも存在感が際立っている。
が、上位進出をするには、「『やりきる』っていう部分での意識が必要だと思います」と木谷監督は考えている。「上位進出すれば、京都国際や龍谷大平安、京都外大西など、連続して強豪校と対戦します。そういうチームと対戦しても耐えられる力といいますか、当たり前のことを常に100%できる徹底力。そういう試合を続けて出来ないと、勝ち上がれないと思います」
それを肌で感じることが出来たのは、秋の京都大会で対戦した京都国際だ。6回まで2対2と緊迫した展開となったが、8回に一挙7得点を奪われ2対9でコールド負けを喫した。
「(京都国際は夏の甲子園で優勝したため)準備期間はこちらの方が長かった。やっていることをきっちりできれば、勝つ可能性もあると踏んでいました。ただ、代打などの兼ね合いで選手を残したところで、一気に攻められました。それは私の采配ミスだったと思います。ただ京都国際は全国制覇して準備期間が短く、チームとしては発達段階でしたけど、チームの精神文化として根付いているモノがある。この冬が終われば、隙の無いチームに仕上がると思います」
「私たちはそれ以上に成長しないと、置いて行かれると思います」と木谷監督は2対9というスコア以上に危機感をもっている。
「当たり前のことをきっちりできれば、大きな傷にならないのですが、あの試合ではバントの処理をミスしてしまって、それをきっかけに終盤に大量失点をしてしまった。見栄えのするプレーではなくて、どんな形であれアウトを取るべきところで取る。そこが一番大事なんだ、というところにチームの課題があると思っています。だからこそ、オフシーズンは“当たり前に出来ることを、当たり前にやる”ために、基礎練習の反復を重要視しながら進めています」
グラウンドの事情もあり、京都共栄はあまり実戦練習が出来ない。基本的な技術の見直しをひたすら繰り返し、来る春、躍進をするために土台を固め続けている。
「プレー1つ1つにはいろんな要素が絡んでいますので、しっかり土台を作る時間を大事にしたいです」と木谷監督。
教え子・大勢も、細かなところを1つ1つ丁寧に突き詰めて、レベルアップを図っていた。。“凡事徹底”の先に京都共栄の未来はある。