近年、スケールの大きい逸材をプロの世界へ輩出している学校として注目されているのが千葉学芸だ。2021年には高校通算70本塁打のスラッガー・有薗 直輝(日本ハム2位)、昨年は200センチ右腕・菊地 ハルン(広島5位)を輩出した。

この2人が無名だった中学時代に才能を見出し、育成したのが高倉伸一監督。そんな高倉監督が今年、大いに期待している逸材がいる。その名は大村 ウィリアム投手(2年)。カナダ人の父、日本人の母を持つ大村は、184センチ86キロの恵まれた体格から最速140キロの速球を投げ込む右腕で、打者としても長打力を持つ。さらにチームでもトップクラスの俊足を誇る身体能力まで秘めている。しかし、いまだ公式戦の出場経験はない。

「大村は未完成。いわゆるハルンのようなロマンを引き継ぐ素材ですね」と高倉監督は評する。

 いまだデビュー前にもかかわらず、そんな大村にはNPBスカウト、強豪大学野球部の関係者から熱い視線が注がれているのである。

関係者の推薦で千葉学芸に入学したが、2年夏まではベンチ外

【大村の投球は12:10秒から】

高倉監督は大村が出会ったきっかけを振り返る。

「ウィリアムは我がチームの主将・木村哉太と同じ水戸シニア出身です。先にうちに進むのが決まったのは木村で、関係者から『楽しみな投手がいるんですよ』と紹介してもらったのがウィリアムです。実際に見たら、体格も良いですし、足も速く、投手をやらせれば、最速135キロと結構速い。プレー自体もパワフル。全体的には粗削りでしたが、楽しみな選手だと思い、うちに進学することが決まりました」

 水戸シニア時代でのポジションは外野手がメインだった。主に6番打者で出場していたが、完全なレギュラーではなかった。高倉監督の訪問がきっかけで、千葉学芸の練習会に参加することになり、雰囲気の良さに惹かれた大村は千葉学芸で寮生活をすることを決めた。

 最初は投手と野手を兼任。当時は常時130キロ前後だったが、トレーナーの指導やトレーニングの成果もあり、1年冬には最速140キロに到達した。

「投げるときに右腕が離れてしまう癖をトレーナーさんに指摘され、体の近くで投げ下ろす動きを覚えていきました」

 長打力を活かして、2年夏までは野手としてベンチ入りを目指したが、残念ながらベンチ外。ポテンシャルの高さは誰もが認めるところだが、実戦力に欠け、秋は背番号23でベンチ入りしたが、公式戦に出場することができなかった。

ラストシーズンは二刀流で活躍したい

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