昨年は49勝91敗3分・勝率.350に終わり、5位のオリックスにも14ゲーム差をつけられてパ・リーグ最下位に終わった西武。所沢移転初年、1979年の前後期通算成績(45勝73敗12分.381)を下回ったばかりでなく、西鉄ライオンズ時代の1971年(38勝84敗8分・勝率.311)の敗戦数も超えてしまう屈辱的なシーズンとなってしまった。今季は3シーズン二軍監督を務め、今シーズン晴れて昇格を果たした西口 文也監督の下、捲土重来を目指す彼らだが、そのためには当然、昨年の陣容を押し上げる戦力が不可欠となる。

 では、逆襲を期す若き獅子たちは誰になるのか。春季2軍キャンプ中に開催された四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスとの交流戦から光った選手たちを紹介していきたい。

 投手陣で真っ先に名前があがるのが、この試合で先発2回を投げた杉山 遥希投手(横浜)。昨年早くも一軍先発マウンドも経験した期待の高卒2年目左腕は、2回表に一死満塁のピンチを背負っても落ち着いたマウンドさばきで無失点に封じてみせた。スライダーやチェンジアップの精度は高いだけに、アベレージ140キロ前後のストレートがあと2~3キロ上がれば、背番号「47」にふさわしい左腕先発の一角を占めることになるだろう。

 もう1人、一軍に近い存在として昨年26歳にして夢の舞台に到達した右腕・糸川 亮太投手(川之江立正大ENEOS)をあげたい。絶対的武器であるシンカーは、一昨年12月に地元・愛媛県で開催されたプロ野球愛媛県人会野球教室で「同級生のアドゥワ 誠投手(松山聖陵広島)から教わったチェンジアップがベースになっている」と明かしている。徳島インディゴソックス戦でも130キロ前後で不規則に落ちる得意球で相手打者を翻弄し、唯一無二の変化球であることを証明した。昨年は4試合登板で3回2/3を投げ防御率9.82とプロの壁に跳ね返される形になったが、ストレートの出力と変化球精度を高め、2年目こそは汎用性の高いリリーバーとしてフルシーズン稼働したい。

 その他、育成選手ではこの日登板した投手陣で最速となる145キロを中心に強いボールを集めていた3年目右腕の三浦 大輝投手(時習館ー中京大)が支配下登録の最前列にならぶことになりそうである。

 一方、野手陣で最も目立ったのは入団2年目迎えるショートストップ・金子 功児内野手(光明相模原埼玉武蔵ヒートベアーズ)である。昨年はイースタンリーグ68試合に出場し191打数40安打1本塁打16打点・打率.209と貴重な経験を積み、徳島インディゴソックス戦でも3打数2安打1打点と、対戦相手のスピードボールに振り負けない実力を示した。本来俊足ながら昨年二軍で2盗塁に終わった走塁技術が磨かされれば、源田 壮亮内野手(大分商ー愛知学院大ートヨタ自動車)、滝澤 夏央内野手(関根学園)らが争う遊撃手争いに割って入る可能性は十分秘めている。

 また、大阪桐蔭出身のラタナヤケ・ラマル・ギービン外野手は、途中出場で2打席2三振に終わったが、初球から迷いなく振る姿勢はルーキー離れした度胸がある。今後の成長が楽しみだ。

 なお、交流試合では途中出場ながら2打数2安打1打点、自慢の肩もうなり盗塁阻止1つと古巣相手にNPBの何たるかを独立リーガーに身をもって教え込んだ古市 尊捕手(高松南徳島インディゴソックス)は、入団4年目・22歳を迎える今季が正念場。昨年12月の四国アイランドリーグplus20周年記念パーティーで「昨年の悔しさを晴らす」と誓っていただけに、一軍での明確な結果で具現化してほしい。