ドジャース・佐々木 朗希投手(大船渡)に大きな注目が集まっている。現地時間19日のライブBPでは、首脳陣が絶賛。日本で行われる開幕第2戦で投げる予定だ。
日々佐々木に対する期待は大きくなるばかりだが、あるMLB球団の関係者A氏は「過度な期待はすべきでない」と警鐘を鳴らす。
「1年目に10勝を挙げても2年目以降、全く投げられないでは意味がありません。佐々木投手の評価はトータルでどれだけ成績を残し、先発投手として長く活躍できるかで決まります」
佐々木はMLB公式ホームページで掲載されているトッププロスペクトランキングで1位となっているように、逸材としてメジャーからも認められている。そんな佐々木の課題とは何か。A氏に語ってもらった。
まずA氏が挙げたのが体力面。ここで語られる体力とは、MLBの規定投球回である162回を投げきる能力のことを指す。
「佐々木投手とほかの選手との体格を比べて、線の細さを感じた方が多いと思いますが、まだMLBの関係者の中でも『佐々木投手の体はできていない』という評価です。ほかのMLBトッププロスペクト投手と比較しても、体が細く、まだ規定投球回はきついと見ています」
また、150キロ後半の速球を投げる投手にはトミー・ジョン手術の可能性がつきまとう。佐々木も例外ではない。
「25年のスプリングトレーニングのブルペン映像を見ると気になる点がありました。今のフォームはトミー・ジョン手術をすることになった剛腕投手と同じような崩れ方に見えました。MLBのマウンドはかなり硬いですし、足腰に負担がかかりやすい。日本とボールが変わるのも影響します。ブルペンでの映像を見ると、踏み出した左足が一塁側に流れているのが気になりました。
スライダー、フォークなどの球種も負担がかかりやすい。アメリカではヒジの損傷があれば、すぐにトミー・ジョン手術を受けるのが一般的です。選手も当たり前のように受け入れています。先発タイプの佐々木投手は、将来的に多くの投球回を投げることが求められます。大型契約を結ぶまでに、しっかりとメンテナンスをしなくてはなりません」
そんな課題を抱える中で、佐々木のルーキーイヤーはどんな1年になるだろうか。似たタイプの投手には、昨年、ナショナルリーグで新人王を獲得したポール・スキーンズ投手(パイレーツ)がいる。右スリークォーター気味に投げるスキーンズは、最速164キロで、平均球速159キロ。23試合133回を投げて172奪三振、防御率1.96だった。投球回数を大きく上回る三振を奪うスキーンズの成績は佐々木が目指す一つのラインになるだろう。A氏は言う。
「さすがに1年目からは、スキーンズほどの投球回数を投げることはないと思います。ドジャースは先発投手の候補が多いですし、5人ローテーションで回す中で、いきなりメインになることはない。しっかりと休養をさせながら、先発するというサイクルになることが想定されます。そうなると投球回数は、良くて100イニング前後でしょう。
ドジャースの育成プランは分かりませんが、最初からメジャーではなく、4月から6月はマイナーで中4日、5日をやってみて、段階を踏んでから、先発入りという育成方法も考えられます」
佐々木の真価が問われるのは2年目以降だとA氏は考えている。
「例えば今年、ローテーション投手として頑張っても、来年そのままいけるとは限りません。2年間、トータルでローテーションを守り抜いて初めて評価されるでしょう。それができれば、ドジャース側も『数年はいける』という判断になると思います。
先発投手の評価の一つが投球回数。負けが先行しても、200イニング近く投げられる投手は評価が高くなります。ヤンキースでプレーした黒田博樹投手も35歳から3年連続でほぼ200回を投げていて、負けは先行していましたが、評価が高かったです」
メジャーの先発投手の成績を見ると、20代中盤もしくは後半になって初めて規定投球回に達する投手が多くいる。
「理想としては25歳前後で、MLBの先発ローテーションを守れる体力が身についてから、10年以上も活躍する投手になることです。
凄い能力を持った投手に間違いはないですし、強いドジャースに入った事で不安を一掃して、今シーズン、大谷 翔平投手、山本 由伸投手と3人の日本人投手がどのくらいの成績を残すか楽しみにしています!」(A氏)
2022年にいきなり完全試合を達成したように、想像を大きく上回るパフォーマンスを見せてくれるのが佐々木だ。メジャーの壁を乗り越えてくれることを期待したい。
<MLB公式が発表しているプロスペクトランキング ベスト10>
1位 佐々木 朗希投手(23歳・ドジャース)
2位 ロマン・アンソニー外野手(20歳・レッドソックス)
3位 ウォーカー・ジェンキンス外野手(19歳・ツインズ)
4位 ディラン・クルーズ外野手(22歳・ナショナルズ)
5位 ジャクソン・ジョーブ投手(22歳・タイガース)
6位 マックス・クラーク外野手(20歳・タイガース)
7位 クリスチャン・キャンベル内野手(20歳・レッドソックス)
8位 ジョーダン・ロウラー投手(22歳・フィリーズ)
9位 カーソン・ウィリアムズ内野手(21歳・レイズ)
10位 トラビス・バザナ内野手(22歳・ガーディアンズ)