オリックス・吉田 輝星投手の弟・吉田 大輝投手(金足農)。昨夏は秋田大会で37回を投げ、7失点の力投で兄・輝星が甲子園に出場した18年以来、6年ぶりの甲子園出場を決めた。そんな吉田は昨夏の甲子園・西日本短大付戦で、7回5失点で初戦敗退に終わった。伸びのある常時140キロ前半・最速146キロのストレートを強気に投げ込んで打者を翻弄する投球は、今年の公立校の高校生投手では屈指の実力がある。兄と同じく、高卒プロ入りするには、どんなアピールをしていけばいいのか、考えていきたい。

 力強い腕の振りから投げ込む常時140キロ前半のストレートは伸びがあり、回転数も高い。秋田大会では、両サイド、低め、高めへの投げ分けができていた。ただ、甲子園では高めに浮いたストレートを西日本短大付打線に痛打されてしまい、失点を許してしまった。

 気になったのは軸足にしっかりと体重が乗り切らず、やや球離れが早くなってしまい、全身を上手く使い切れていないところ。兄とフォームが似ているが、兄は軸足に体重が乗ってから、パワーロスすることなく、リリースですべての力を伝えることができているが、夏の大会を見ると、中途半端な形でのリリース、フィニッシュになっている。特にスライダーを投げる時に悪い癖が出てしまい、ボールがベルトゾーンに集まってしまう。

 178センチ85キロと、兄の高校時代は176センチ81キロと身長は2センチ、体重は5キロ上回っており、シルエットでも一回り大きい印象がある。フォーム技術が向上すれば、安定して140キロ後半の速球は投げられそうだ。

 また変化球は110キロ台のスライダー、チェンジアップは高めに浮くことも多い。今年は変化球の速度、ボールの出し入れで進化が見られているのか注目したい。

 秋田大会では大エースと呼べるほどの投球で、甲子園に導いたように高校生としては一定以上の総合力の高さはある。ただ高卒プロを目指す場合、フォーム面でパワーロスが見られ、まだ恵まれたポテンシャルを活かしきれていない。さらに直球に比べて制球が甘い変化球の精度なども求めていきたい。

 昨年より一変した投球をこの春の県大会、東北大会、夏の大会で見せることができるか。兄に続く高卒プロ入りを期待したい。

<吉田 大輝(よしだ・だいき)>

小学校2年生から天王ヴィクトリーズ(軟式)でプレーし、天王中学校では、軟式野球部に所属しながら、硬式・ネオグリッターズ(現・あきた中央ポニー)でもプレーしていた。金足農では1年春の県大会から背番号17でベンチ入り。1年秋から背番号1を任された。好きな言葉:天下 兄・輝星にグラブを買ってもらった時に刺繍を入れてもらった。将来の夢:プロの試合で兄に投げ勝つ 兄に負けたくないから 今までで最も印象深い出来事:兄が甲子園準優勝したこと(2018)