<薩摩おいどんリーグ:パナソニック2-1慶応義塾大> 25日◇リーグ戦◇ 平和リース球場
パナソニックにとっては、おいどんリーグ3戦目にしてようやく手にした初勝利だった。
「やるだけ!」のスローガンを掲げ、2月4日から薩摩川内市の総合運動公園野球場でキャンプを張っており「疲労困ぱいです」と就任1年目の中本浩監督。初戦の中央大戦は5対6、2戦目のホンダ戦は1対3でいずれも惜敗だったが、この日は慶応大相手に接戦をものにできた。
パナソニックは昨年、都市対抗、日本選手権、社会人の二大メジャー大会がいずれも予選敗退で本戦に出場できなかった。どちらも予選敗退は創部以来、初めての屈辱。チームの再建がGM兼総監督の中本氏に託された。
昨年の屈辱の大きな要因は「投手陣の崩壊」と中本監督。この日は6人の投手陣をつぎ込んで1失点で切り抜けて一定の成果を見せた。
先発の伊藤岳斗(龍谷大)は4回を投げて4安打を浴びたが、3三振を奪い、無失点だった。2番手の左腕・井奥勘太(天理大)は1イニングで2三振を奪い、安定感を見せた。ルーキー・柿本晟也(東洋大)は7回に1失点を喫したが8回は三者凡退で打ち取るなど、各投手陣が持ち味を出した。
気になるのは中本監督が「3本柱の1人」として期待選手に挙げた羽田野温生(東洋大)がグラウンド整備明けの6回から登板したが、2四球を出し、1アウトで降板。もう一人の3本柱・定本拓真(関西大)が投直、併殺で切り抜け、事なきを得たが、課題の残る投球だった。「ブルペンでは150キロを投げる力がある。オープン戦では毎試合チャンスを与えているので、自分の力ではい上がっていくしかない」とハッパをかけていた。
攻撃陣のテーマは「いろんなことを試し、精度を上げていくこと」(中本監督)にあった。打席では結果を度外視して「ファーストストライクから積極的に振っていく」ことを課していた。得点は2得点だったが「だいぶそこはできるようになってきた」手応えを感じる内容だった。
盗塁は6回試みて4回成功。「まだまだ精度を上げる必要はあるが」及第点の内容だった。
大きな課題は1点リードして迎えた8回、先頭打者が出塁し、盗塁を決めて無死二塁としたところで送りバント失敗。その後エンドランを試みるも空振り。打者も三振、結果的に3者凡退で終わり、ダメ押し点の好機を逸した。
直後の9回表は先頭打者に打たれて出塁を許す。無失点で切り抜けることはできたが、本気の勝負のトーナメント戦では終盤の局面をミスで流れを失い、相手に流れを渡すのは命取りになりかねない。そのあたりを詰めていく作業がこれからのオープン戦の課題になりそうだ。