<薩摩おいどんリーグ:日鉄九州大分11―0サムスンライオンズ> 26日◇リーグ戦◇ 平和リース球場

 日鉄九州大分の4番、DHでフル出場した山田瞬太郎(福岡工大)、途中出場した田中貢大(第一工大)、捕手の田中怜央那(愛知工大)は神村学園の出身。野手コーチの追立壮輝、野手コーチ兼マネジャーの永田智也は鹿児島実の出身。彼らにとっては高校3年夏の決勝以来となる平和リース球場での試合。思い出の地で社会人として25年のシーズンに向けての「準備時間」を過ごした。

 「まだまだ、もっともっと調子を上げていかないと…」と終始反省したのは山田瞬。チームの主軸を任されながら5打数無安打。1、3、5、9回はいずれも走者を置きながら結果を出せなかった。唯一7回一死の場面は、右飛かとおもわれたが、落球で三塁まで進塁。犠飛で8点目のホームを踏んだ。

 田中怜は山田瞬と同級生。この日は出番がなかったが、27日の立教大戦でスタメンの予定。「環境を変えたかった」と神奈川のクラブチームからこのチームに加入したのは昨年の11月。「結果を出すしかないです」と覚悟と決意を秘めて今季に挑む。

 田中貢は「他の球場よりも確かに外野フェンスが低かった」ことを二塁の守備について思い出した。他の4人と違って、田中貢にとっては9年前、大学4年の5月に南部九州予選を勝ち抜き第一工大初の全国選手権出場を決めた試合以来の平和リース球場だった。

 シーズンインから肩痛のため出遅れていたが、おいどんリーグ3戦目で初の実戦となった。大学卒業後、日鉄室蘭で2年プレーし、一度引退して1年のブランクがあったが、「まだ体が動けるうちは野球を続けたい」と故郷・九州の日鉄九州大分でプレーを再開した。

 巧打堅守の二塁手も今年で31歳になる。「妻と子供たちには野球を続ける上でとても苦労をかけている」と妻・美久さんと2人の子供たちへの感謝を口にする。それでも肩痛が限界に達しており、今年は区切りをつける年になりそうだ。夢は「全国大会に出場する姿を妻や子供たちに見せること」。そのためのシーズンのスタートを思い出の球場で切った。