「高校時代以来、楽しく投げられました」
そう語るのは元ロッテの島 孝明投手。東海大市原望洋時代に日本代表に選ばれた世代屈指の投手だったが、プロでイップスを発症。一軍登板もなく、わずか3年で現役生活を終えていた。
そんな島が昨年11月の12球団合同トライアウトで5年ぶりに復帰。参加投手2位タイとなる151キロを計測したのだった。この姿にスタンドは大きく湧き、島自身も「想像以上に球速が出た」と自身でも驚くほどの出来だった。
引退後、島は国学院大で4年間、現在は慶応義塾大学院で動作解析の研究を続けてきた。なぜトライアウトを受けたのか、引退してからの大学生活で得た新たな気づきを語ってもらった。
第1回【島投手の栄光の高校時代】を読む
第2回【突然発症したイップスとの戦い】を読む
動作解析を専門的に研究
――現役引退後、国学院大に入学しました。
島 自分が知らないことはたくさんありましたし、いろんな交友関係が広がったと思いますし、行って良かったと思います。その中で動作解析をメインとする先生に出会って、それをきっかけに、学び始めました。
――島さんは高校時代からプロ野球選手の投球フォームを参考にしながらプロ入りした投手ですけど、大学での研究はこれまでやってきたものとは得るものが全然違ったのでしょうか?
島 これまではずっと自分の主観で、感覚を頼りにやっていたんですけど、動作解析の研究では、客観的な視点でさまざまな動作を数値化をします。投球フォーム一つとっても「こういう評価の仕方があるんだな」ということを知ったので、非常に面白かったですね。
――正直現役のときに知っておけばって思ったことありますか?
島 それは思います。現役時代にそういった部分の知識があったらよかったと思いました。
――ラプソードを使った解析もやられていましたね。
島 アナリストみたいな活動を大学時代、学生同士でやっていましたので、データ分析系も学びました。
――国学院大での4年間で教員免許は取得されたんですか。
島 保健体育の教員免許を取得して、母校の東海大市原望洋で教育実習として、授業もしました。
――教育実習を受けたことで、当時の先生、野球部の先生方への見方は変わりましたか?
島 教師の方には本当に尊敬しかないですね。なかなか毎日、授業と部活の両方を見ているのはしんどい部分もあると思うんですけど、そういった人たちに、すごく助けられたと思いますし、すごく感謝してます。