プロ野球の開幕まで1ヶ月を切った。オープン戦も始まり、チーム内の競争も熾烈を増してきた。なかでも育成契約の選手たちは、開幕前の支配下登録を勝ち取るべくアピール合戦を繰り広げている。
例年、シーズン終了から翌シーズンが開幕するまでに支配下登録(復帰を含む)される選手は数多くいる。今年も楽天の西口 直人投手(山本)が返り咲いた。すでに2月23日の日本ハム戦(オープン戦)では1回無失点2奪三振とアピールに成功。開幕一軍入りへ向けて順調だ。
ところで、西口のように近年で開幕前に支配下登録を勝ち取った選手は、シーズンでも結果を残しているのだろうか。ここでは直近3年を振り返ってみたい。
昨年、野手ではソフトバンクの仲田 慶介内野手(福岡大大濠)、緒方 理貢外野手(京都外大西)、川村 友斗外野手(北海)の3人が話題となった。いずれも一軍で出番を勝ち取り、とくに川村は20試合でスタメン起用されるなど88試合で打率.268(123-33)と好成績を残した。仲田はオフに戦力外となってしまったが、西武と育成契約。今年も開幕前の支配下登録を目指すべく奮闘中だ。その他では中日の尾田 剛樹外野手(高野山)も主に代走として65試合に出場。大きく飛躍した。
投手では日本ハムの福島 蓮投手(八戸西)が12試合に先発し2勝(3敗)をマーク。今年も先発ローテーションの一角を狙っている。また支配下復帰を果たしたオリックスの井口 和朋投手(武相)も32試合に登板し中継ぎとしてチームに貢献した。
2023年はオリックスの茶野 篤政外野手(中京大中京)が大ブレイク。育成1年目ながら開幕前に支配下登録を勝ち取るとNPB史上初となる“育成入団1年目での開幕スタメン”を射止めた。その後、故障での離脱もあったが91試合で打率.237(312-74)の成績を残している。数字だけを見ると物足りなく映るかもしれないが、育成ドラフトで加入した1年目のルーキーが開幕スタメンを掴み、これだけの数字を残したのは驚異的だ。また、今春のキャンプでは広島の二俣 翔一内野手(磐田東)が実戦で3本塁打を記録し、初の開幕一軍へもうアピールを続けている。
2022年はソフトバンクの藤井 皓哉投手(おかやま山陽)が光った。2020年に広島から戦力外を受けた藤井は2021年に四国アイランドリーグ・高知ファイティングドッグスでプレー。そこでの活躍が実り1年でNPBへ復帰した。春季キャンプからオープン戦で好結果を残すと開幕前に支配下登録を勝ち取った。シーズンでも中継ぎとして55試合に登板し防御率1.12と大ブレイクを果たした。活躍はこの1年にとどまらず2023年は34試合(先発9試合)で防御率2.33、昨年も40試合で防御率1.80と欠かせない存在となっている。
藤井のような大ブレイクは稀かもしれないが、茶野や福島や川村らは一軍できっちりと戦力になった。今年も育成から這い上がった"掘り出し物"が現れるのか注目だ。