昨年15年ぶりに野球部が復活した日産自動車九州がおいどんリーグに初参戦。2日のJR東日本戦は1点差で終盤逆転負け。この日の立命館大戦は0対1で完封負けとほろ苦いおいどん「デビュー戦」となった。
JR東日本戦では7回まで5対3とリードしたが、8回表に死球、エラーが絡んで満塁となり、長打を浴びるなどで3点を失い、逆転負けだった。この日も1回表にエラーがらみで先制点を献上。投手陣の踏ん張りなどで、追加点は許さなかったが、打線が散発3安打と精彩を欠いた。
「日頃、レギュラーではないが、勢いがある若手メンバーをスタメンで起用した」と植山文彦監督。「もう少し、打てると思ったが…」期待通りにはいかなかった。2回表の無死二三塁、9回表の無死一二塁と大量失点につながりかねないピンチをしのぎ、直後の2回裏、9回裏は先頭打者を出塁させながらも、得点できなかった。
7番・右翼手でスタメン出場した赤嵜智哉は鹿児島実出身。鹿児島での試合は22年夏、大野稼頭央(現ソフトバンク)のいた大島と投げ合った決勝戦以来である。「鹿児島での試合は特別なものがある。普段の試合はなかなか親も見に来られないので、ありがたい」と喜ぶ。
JR東日本戦では出番がなかった中で、この日はフル出場できたが、3打数無安打に終わった。「調子は悪くなかったが、勢いのある大学生のボールをとらえきれなかった」と反省する。
日産自動車九州は会社の業務見直しの一環で、09年を最後に休部となった。野球部はクラブチームの「苅田ビクトリーズ」となり活動を続けていたが、昨年復活。2年目の更なる飛躍を期し、社会人や大学、アマチュアのトップチームが集うおいどんリーグに初参戦となった。
休部前にコーチ、ビクトリーズに移行してからは監督となった植田監督としては「また復活できたことが嬉しい。うちは都市対抗予選までに出られる大会が少ないので、こういう大会があるのはありがたい」と頭を下げる。
今年のテーマは「全力」。守備位置につくまで常に全力疾走を心掛け、野球を通じて社会人として通用する人間教育が休部する前からの伝統であり、それを新しい形で新たな選手たちに伝えて作っていくことを植田監督は目指す。
3年目の赤嵜は、ルーキーイヤーの2年前は社員として働きながら、クラブチームの選手として活動していた。昨年、野球部が正式に復活し、その一員となり「練習環境が大きく変わった」ことを歓迎する。
クラブチーム時代はフルタイム働いてから夕方以降の活動だったが、昨年からは午後からたっぷり練習時間がとれる。
「社会人になってからは自分で考えて練習をするようになった」と赤嵜。打撃一つでも体の使い方ひとつで力の伝わり方が違ってくる。どんなやり方が自分に合っているのか、考えながら練習に取り組んでいる。
「攻撃でも、守備でも、良い状態を出し切れれば、よそに勝てるだけの力はある」と感じている。そのためにも「まずはレギュラーを勝ち取って試合に出られる選手になる」ことが今年のテーマだ。