——大会の注目ポイントを教えてください。
大島:この春は守高打低と見ています。50年前のセンバツの開幕戦である倉敷工-中京(現中京大中京)の一戦は、16―15という超乱打戦になりました。前年から使用された金属バットの影響がひと冬越えて、より際立った結果です。低反発バット2年目の春も同じことが言えるのではないでしょうか。低反発バット対策として、打者側の対応と、詰まった打球が増えたことによる守備側の対応がありますが、この冬では、守備側の対応が勝るのではないか。横浜、健大高崎など関東勢が力はあると思うが、1点を取る粘り強い野球は、関西勢に分があるように思います。
馬場:同じく低反発バットに関連して注目したいポイントは、昨年から本塁打が増えているかどうかという点です。昨年のセンバツで生まれた本塁打はわずか3本。そのうち一本はランニング本塁打でした。昨年は新基準バットが導入されてから初の公式戦ということもあり、出場した各校は試行錯誤しながらの戦いだったように思えます。導入から1年経ったことで選手、指導者にも慣れが見られ、昨年以上に新基準バットに対応した打撃を見せてくれるのではないでしょうか。ある高校の監督は「ホームランは増えると思いますよ」と話していたが、どこまで増えるだろうか。
河嶋:確かに今の新3年生、新2年生は新基準バットに慣れてきたこともあり、昨秋の地方大会、神宮大会から力強い打球が戻ってきています。大会本塁打、長打数もどう変わるのか、注目したい。また、出場校投手の140キロ超えの投手を毎年記録している者としては、今大会は何人の投手が140キロオーバーできるか見守りたい。昨年は2年生ながら150キロを計測した健大高崎の石垣が1位となりましたが、今年は石垣含め速球投手が多い。球速面でも沸かせる投手がどれだけ出てくるのか楽しみにしたい。
塩澤:ずばり「タイブレークを制すものが甲子園を制す」です。昨秋の神宮大会では高校の部の準決勝はどちらもタイブレーク、決勝も1点差と接戦となりました。新基準バットの導入で投高打低と言われる中、今大会を勝ち上がるうえでもタイブレークは避けては通れないと思います。そういった意味では神宮大会準優勝の広島商、四国大会を制した明徳義塾など緻密な野球を得意とするチームの戦い方には要注目です!
浦田:昨年夏の甲子園で「大社フィーバー」が起こったように、今年のセンバツで「フィーバー」が起こるとすれば、21世紀枠の壱岐に期待したい。チーム分析からすれば、打力、投手力が抜けているわけではありませんが、盗塁数が大会出場中トップで、失策数も一番少ない。足をからめた攻撃がはまれば、球場全体を味方につけることができます。離島勢としての快進撃も決して夢ではないのではないか。この壱岐の野球に象徴されるように、盗塁だけでなく、相手のスキをついた走塁など、スモールベースボールの真骨頂が発揮される大会になりそう。「7回制」への移行の流れも考えれば、終盤の一発逆転に期待するのではなく、早いイニングから確実に点数が取れる野球が主流となる出発点として、この大会が位置づけられる可能性がありますね。